5-9サプライヤーマネジメントの基礎 ~どのように関係を強化するか

サプライヤーマネジメントは、サプライヤーとの関係をバイヤー企業にとって良好な状態に構築し維持するかです。サプライヤーマネジメントの初期段階となる関係強化法について考えます。

☆なぜ、サプライヤーとの関係を強化するのか

サプライヤーとの関係をなぜ強化しなければならないか。サプライヤーとの関係は、目に見えて状態を確認して強化されたかどうかを客観的に判断できないからです。

日々の購入が円滑に行われているだけでは判断しづらいのが現実です。しかしなんらかのトラブルに遭遇したとき優先的にサポートしてくれた場合は、サプライヤーとの関係強化を認識する格好の機会です。またバイヤー企業の希望を多く盛り込んだ製品開発に応じてくれる場合も同様です。しかしいずれも結果論です。トラブルに見舞われたときに優先順位を上げてもらえなかった、あるいはサプライヤーの製品開発が終わった段階で、希望が十分に反映されてなかったのでは遅いのです。

したがってサプライヤーとの関係の強化は、強く意識し行動し関係の状態を確認し続ける必要があるのです。

☆「関係を強化したい」バイヤー企業の意思を伝える

まずバイヤー企業として、関係を強化したい意志をサプライヤーの営業パーソンへ伝えます。一度でなく何度も言葉にして伝え、言葉を裏打ちする行動にも表します。他のサプライヤーとは区別した発言や行動で、バイヤー企業としての意思を繰り返し示します。

☆相思相愛を目指す

サプライヤーに対し重要視している姿勢を伝えた後は、サプライヤーの対応の変化を観察し、サプライヤーがバイヤー企業の意思をどう判断しているかを確認します。関係強化状態は重要な確認事項なので必ず行います。

日本の商慣習では「買う側が強い」との意識が根強く残っています。実態はどうでしょうか。バイヤー企業でサプライヤーを評価し区別して対応し関係強化の方向性を決めました。同じような顧客評価をサプライヤーも行っています。はたしてサプライヤーからバイヤー企業はどのような評価を受けているでしょう。顧客だから最上の対応を受けられる意識は幻想です。サプライヤーの営業パーソンはバイヤー企業を重要視しているかどうか、あからさまに態度に出しません。しかしバイヤー企業を重要視していない場合、サプライヤーとしての顧客評価結果を伝えない可能性が高くなります。したがってバイヤー企業の「関係を強化したい」希望と、サプライヤーの意志にミスマッチがあった場合、サプライヤーの営業パーソンは対応に苦慮します。その「苦慮」は営業パーソンの発言や行動に表れます。サプライヤーとの良好な関係は双方が同じ意志をもってはじめて成り立つのです。双方の意向にミスマッチが確認されたら、その解消から始めなければならないのです。(牧野直哉)

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