リフォーム完了報告(牧野直哉)

8月に自宅のリフォームを始める際、リフォーム業者の選定について述べました。10月中旬引っ越しを完了し、現在リフォームを終えた自宅でこの原稿を書いています。リフォーム開始以降、毎週のようにやってくる台風と長雨によって、まだ外構関連工事が完了していません。なんとか内装は終わって住めているのが実状です。

発注時には、管理コストの高そうな大手業者ではなく、中小規模の業者を選定しました。リフォーム工事そのものの出来映えには満足しています。しかし、何度も台風に見舞われたため、工事の全体工程が遅れてしまいました。こういった天気に左右される工事の場合、高いなと感じた管理費を支払ったらどうだったろうか?とも思います。天気がどうかるかなど誰も分かりませんし、難しい選択ですね。今から管理体制の整った大手業者でやるというわけにもいきませんしね。

また内装のリフォームをおこなうと、やった場所とやっていない場所の違いがハッキリします。どうしても気になる場所があって、その部分も追加工事になりました。そういったこともあるかと、ある程度の追加費用は確保していたものの、ギリギリの予算であったらどうなったのだろうか?と思わざるを得ませんでした。

今回リフォームに要した費用の約40%は、耐震補強工事でした。耐震補強工事は、震度6強の地震に襲われても建物が倒壊しない強度を保つ目的があります。折しも熊本地震の直後であり、耐震補強工事の施工場所と施工方法は入念に確認しました。幸い購入した物件には、建築当時の資料がほぼすべて残されていました。しかし、あるべき柱が実際には施工されていない場所がありました。昭和の建築には良くある話ですと説明を受けたものの、最終的な現場での判断によって省かれている柱って怖いなと感じる出来事でした。その部分は、もちろん追加工事になりました。

耐震工事の計画と施工を確認すると、自宅や勤務先の周囲にある不安を感じる建物が目につくようになりました。大手の住宅メーカーによる建築であれば、CMやカタログにもあるとおり、現在の耐震基準の最低でも2倍以上の強度を有していると言われます。問題は、昭和の時代に建築された住宅です。簡単に言うと、1階部分の窓が大きかったり、壁のメンテナンス状況や、瓦の有り無しによって、何となく危ない家がわかるようになりました。窓は大きい方が室内が明るくなります。しかし、しっかりとした柱で支えなければ、屋根の重さに耐えきれなくなります。日常生活における快適さと、古い住宅では耐震性能がトレードオフしてしまいます。熊本地震では、新耐震基準で建てられた一軒家でも倒壊している例がありました。壁と柱、窓のバランスによって発生します。柱のない広いスペースは憧れますね。でも、地震対策の観点では、バランスの確保が必要だと感じています。

今回のリフォーム工事で選定した業者に、次のリフォームでも発注するかどうか。天候不順によるスケジュール管理には、大きな課題があると感じましたが、おおむね事前想定通りに施工されたと感じています。したがって、また同じ業者にお願いするでしょう。でも、他の業者にもお願いしてみたいなとも思いますし、次の機会が到来したら考えることにします。

リフォーム工事の見積、発注と施工の一連のプロセスは、まさに調達・購買部門でおこなう日常的な業務のノウハウが生きる格好の場面でした。特に、新たな器具の購入と据え付けは、大手住宅設備メーカーの販売ルートは多く存在し、どこから買えば安いのかを探し比較検討した上で発注しました。配送システムが高度化しているので、ほぼすべてのアイテムが時間指定で配送が可能なのですね。したがって、私のようなリフォームに関しては素人でも、工程に合わせた機器の納入が可能になりました。使用する機器類の施主支給は、最初に提示した見積条件でした。例えば、シーリングは素人でも十分取りつけ可能です。しかし、水回りのキッチンや風呂は、据付工事も品質の一部と判断し、詳細見積を提示させましたが、リフォーム業者にまる投げの形を取りました。内装工事、電気工事、外構工事、大工といった個々の業者へ発注すれば、費用的には押さえられるとわかりました。しかし、企業に勤務しながら現場を不在にして日々の調整ができるかといえば、難しいとも感じました。工程管理を厳格におこなうには、大手業者の管理が有効です。管理は、監督者の人件費です。管理をどこまでおこなうのかで総発生費用が異なるのは、私がふだん扱っている購入品と何ら変わるモノではありませんでした。

今、多くのリフォーム業者がしのぎを削っています。中には一人親方で電話とパソコンと車で現場を回ってリフォーム工事を複数抱えている業者も存在します。そういった業者は、コストが押さえられる半面で、管理がおろかになりがちです。また悪徳業者にそういったスタイルの業者が多いのも事実です。一方、企業の組織で管理する業者は、その規模によって管理コストが上積みされます。リフォーム業者といっても、さまざまなスタイルがあって、それぞれコストも異なります。自分が求める工事が、果たしてどんな内容なのかを見極めれば、おのずと適正な業者がみつかります。業務で培ったノウハウを最大活用しましょう!

<了>

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