短期連載・サプライチェーンマネジメント講座(坂口孝則)
調達・購買の教育教材として、サプライチェーンマネジメント全体を書いてきました。連載は前回で見事に(笑)完了しました。
そこで今回は例外編を書きたいと思います。何かというと、2012年「自動車サプライヤーシステムに関するアンケート調査(文部科学省科研費プロジェクト)」の資料です。
いつも思うんですが、こういう、せっかくお金をかけた資料がほとんど現場の調達・購買担当者に知られていませんよね。もったいない。行政は調べるのよりも、周知にお金をかけるべきではないか、と思うこのごろです。
さて、その2012年「自動車サプライヤーシステムに関するアンケート調査(文部科学省科研費プロジェクト)」に面白い結果があります。
もう少し大きく見たい人はクリックしてください。これは私にとっては衝撃的でした。たとえば、調達・購買部門に対してアンケートをとると、ほとんどの場合、「サプライヤへ経営指導や支援を行っている」と答えます。
しかし、それをサプライヤから見たらどうでしょうか?ショックなことに、ほとんど支援されていると思われていません。
「主力販売先からの支援」を見てください。私が意地悪にも赤字にしておきましたが「特にない」があまりに圧倒的です(笑) いや、俺もそう思うんだけれど、これほどミもフタもない結果だったらどうすればいいのでしょうか。そして、もう一つ赤字にしているところを見てください。依存度はすさまじい。
このメールマガジンでも、依存度は10%くらいが理想的だと書きました。しかし、実際には、その3倍の30%ほどのようです。これは重大な二重離反です。というのも、サプライヤからすれば、指導もしてくれないし、たいして協力してくれないバイヤー企業に、しかしながら依存するしかないのです。
これは日本の産業を考えるに非常に大きな点だと思います。
もちろん、大手は笑えるかもしれません。しかし零細企業は深刻です。上記図は、資本金別のシェアを、輸送機器の産業でまとめたものです(見えない場合はクリックして拡大をよろしくお願いします)。1億円以下の資本規模の企業はずっと減らしています。
これはこれからのサプライチェーンを考えるにあたって課題に違いありません。
やっかいなことです。しかし、調達・購買部員としては、これをどう打破すればいいのか。チャレンジングな内容であるのは間違いありません。
<つづく>