バイヤー会議論(牧野直哉)

3.会議に上司と出席するとき

同じセクションから複数で出席する会議は、自分たちにとって優先度が高いはずです。それだけ業務への影響度合いも大きくなりますので、事前の準備を確実におこなって、積極的に貢献し、会議開催の成果最大化を目指します。

①情報収集は怠らない
会議の開催目的と、開催背景は、会議招集者に十分な情報提供を求めます。その上で、上司へ共有します。ここで重要なのは会議における「論点の明確化」です。簡単にいえば、上司に「おれ、聞いてない」と発言させないための準備です。

「論点の明確化」は、次の質問に答えを求める形で情報収集を進めます。

(1)主催者はなぜ会議を招集したのか
進める方向性を決定したいのか、意見を求めたいのか、認識の共有化を徹底したいのか、あるいはその全部か。なぜ会議を開催するのか、その理由を突き詰めます。この部分が不明確だったり、弱かったりする場合は、会議出席者と出精するかどうかを再検討します。

(2)開催根拠の背景はなにか
会議開催にいたる経緯です。突発的な問題が発生して、その対応を検討する場合でも、できる限り「突発的な問題」について情報収集をおこないます。情報収集の結果で、他の参加者にも事前に知らせたい情報がある場合は、出席者でも情報発信は積極的におこないます。

(3)調達・購買業務と関連したポイントの明確化
調達・購買部門が呼ばれたら、それは外部からの調達に関連するポイントがあるはずです。それは前述の(1)(2)と関連したサプライヤのQCD+αでしょう。したがって会議開催主旨に関連して、サプライヤが特定できる場合は、サプライヤの会社概要といった基本的な情報も、最新に更新して準備します。会議の席上で、サプライヤの基本情報に話がおよび、

「所在地はどこ?」
「売上げ規模はいくらくらい?」
「従業員は何人?」

といった会議テーマとの関連性は薄いものの、調達・購買部門がしっているべき質問がでる場合があります。質問に答えられるかどうかで、調達・購買部門のサプライヤ管理状況が、他部門から判断されるかもしれないのです。

②上司の意向を確認する
会議に関連した情報をまとめて上司に報告して、会議に臨む、基本的なスタンスの共有化します。上司の意向通り対処するのではありません。会議でおこなうコメントは、上司であろうと部下であろうと、さまざまな意見によって、いろいろな方向性があるべきです。問題なのは、同じ調達・購買部門から出席しているにもかかわらず、会議の席上で異なった意見を表明する事態です。会議中に同じセクションからの出席者どうしが揉めるのを避けます

会議の出席依頼は、個人/担当者あてにおこなわれます。しかし、仕事は組織的に進め、個人でなく、所属部門としての意見表明が必要です。同じ部門内は、会議開催前にコンセンサスをとっておきます。これは考え方を一つに集約させるだけではなく、複数の想定が可能で、他部門の都合と合わせ考える場合は、複数案を持つコンセンサスで会議に出席します。

③自分も意見を持つ
情報を集めたら、自分でも考え、表明できる意見を持ちます。もし、表明できる意見が持てない場合、それは情報が不足しているか、自分の業務には関連性が薄いテーマかもしれません。追加情報を収集するか、会議の出席の必要性を再検討します.

企業でおこなう意志決定には、決定できるかどうか「権限」があります。会議の内容によっては、自分の職位では意志決定権限のないテーマもあるでしょう。しかし、意志決定の権限やルールと、自分で意見を持つか持たないかは、まったく関係ありません。会議に限らず「自分だったらどうするか」と、当事者意識を持てば、いろいろな疑問も浮かぶし、問題点も目につきます。疑問や、問題点があってこそ、的確な情報収集が可能です。

<つづく>

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