バイヤー現場論(牧野直哉)

8.同僚が訪ねてきたとき

他部門の担当者を訪ねてくるとき、どのような状況でしょうか。急いでいるかもしれないし、重要な事態かもしれません。電話やメールではなく、直接会ってする話ですから、相手からすれば何らかの重要な根拠があったからこそ直接訪ねてきます。来訪を受けた場合は、まずその真意をくみ取らなければなりません。

「たまたま会議があって」「××さんに呼ばれて」といったなにかのついでによった場合もあるでしょう。そういった場合、よった相手があなたに好感を持っていなければ、わざわざ立ち寄って話などしません。その好感をほごにするような対応は慎みます。どうしても時間を割けない場合は、その旨を伝えて、後々でしっかりフォローします。

①いい話か、悪い話か

立ち寄って、声をかけてくれたその瞬間の相手の顔色をうかがえば、だいたい良い話か、悪い話かは察しがつくでしょう。訪ねてこられると面倒くさいと思う相手であれば、早く立ち去ってほしいと思ってしまう場合も想定できます。

しかし、電話やメールといった手段を採用せず直接会いに来た真意は、必ず確かめなければなりません。もし、別件があって、その場での対応が無理であれば、別の機会をみずから設定します。まずは、会いに来てくれた相手の気持ちに報いる姿勢と、御礼やお詫びの気持ちを言葉で表します。

②話をする時間はどれくらい?

仮に訪ねてきた相手が、社内的な職位で下位だったり、後輩だったりしても、自分が着席した状態で、相手が立ったままで話をするのは慎みます。自分が着席して話をするのは、用件を聞くまでにします。聞いた用件によって、いますぐ対応するかどうか。いますぐであれば、話をする場所をどこかに確保します。これは、会議室を確保するのではなく、訪ねてきてくれた相手に座る場所を提供するだけです。打ち合わせスペースがあれば、その場所へ移動しても良いし、隣席が不在であれば、そのイスへの着席をうながします。

もし、じっくりと話を聞いたり、話し合ったりが必要で、自分の都合がつく場合、10分以上必要であれば、打ち合わせスペースや、会議室を確保して話をします。

③曖昧に終わらせない

わざわざ訪ねてくるのですから、ぜひ対応してほしい仕事や、過去の対応に不満を持っている場合も想定できます。相手の気持ちは、もしかすると「直接、文句の一つも言ってやろうか」といった気持ちかもしれません。そういった場合、訪ねてきた相手は、話をして一定の満足が得られます。しかし、話を聞いた側は、あまり面白くありません。

他人から否定的な物言いをされるのは、誰もが不快です。だったら、不快な思いを繰り返さないためにも、相手の主張を明確に、自分の改善点や、具体的な仕事へと変換して、再発を防止しましょう。「ちょっと顔を見に来たよ」といった程度の用件なら、言葉に出さずとも「俺も会いたかったよ」との気持ちを態度に表して、歓待します。こういったタイミングでも、人間関係の潤滑油を注油します。

9.コピーをとるとき

かつて、OLや庶務と呼ばれる仕事の代名詞は「コピーとお茶くみ」でした。現在でもそういった慣習が残っている企業もあるでしょう。しかし、企業が思うように増員できない環境下で、かつて「コピーとお茶くみ」に従事していた社員でさえ、どんどん戦力化を進めなければなりません。調達・購買部門では、バイヤー化を進めるためには、誰もがコピーをとって、お茶も出さなければならないのです。また、優秀なバイヤーやビジネスパーソンは、コピーに代表されるような雑務をいとわずに、積極的におこなっています。

また、最近のコピー機は、複合的な機能を搭載した他機能モデルがメインです。「コピー機」とは呼べないくらいにたくさんの機能が満載されています。まずは、どんな機能をどのように活用するのか、ツールとしての「複合機」を徹底活用します。

①もう「コピー機」といえない複合機の機能を理解する

現在オフィスで使用されている、いわゆる「コピー複合機」には、次のような機能が一台に集約されています。今回は、ほぼすべての複合機が持つ機能について述べますが、一度オフィスの複合機のマニュアルの参照をオススメします。きっと、新たな機能の発見があるはずです。

1)コピー

書類を複写する機能です。本体のオプションによって、コピーした資料のソートや、資料を折ったり、とじたりといった機能が追加できます。パソコンやタブレットがビジネスの現場に浸透しつつも、必要に応じて紙の資料は有効に活用すべきです。使っているコピー機にどんな機能があるのかを知っているかいないかで、資料準備に要する時間も削減可能です。

2)プリンター

ワードやエクセル、パワーポイントの資料を作成して、会議や打ち合わせの資料に配付する場合は、コピーの機能と合わせて活用すると、さほど時間を使わずに、配付資料が完成します。最近ではカラーで印刷された資料も一般化しつつありますので、より伝えたい相手へ確実に理解してもらうために、資料を最大限活用するためにも、プリンターの印刷機能を活用して、資料セットの不要な効率的な資料作成を実現します。

3)スキャナー

これは、紙の文書をデータ化する際に活用する機能です。使用する機材にもよりますが、数種類の大きさが混在した文書なら、一括してスキャンできる機能も附属しています。スキャンした文書のデータを、LAN経由で自分のパソコンへ転送できる機能も標準的に附属しています。

企業の文書管理規定や、品質管理マネジメントシステムのルールによって、文書のハードを保管しなければならない書類を除き、仕事に区切りが着いたらすべての書類をスキャンしてもいいでしょう。将来、同じような仕事に取り組む場合は、過去の経験が役立ち、同じ間違いを繰り返さないためにも効果的です。

4)FAX

メール全盛期である現在、使用する機会が減少している機能です。しかし、いまだに多くの名刺にはFAX番号が記載され、ビジネスのインフラとしての位置付けが保たれています。メールでも文書データは送付可能なので、文書送付にFAXを活用する頻度も減少傾向は否めません。FAXは発信者が作成したそのままの内容を相手に届ける、改ざんの可能性がないとの点が活用手段の一つです。

複合機は、受信したFAXをそのままプリントせずに、データ化して共有フォルダに転送する機能を持っている機種もあります。まずモニターで内容を確認してプリントの要否を判断します。

5)LAN接続/ストレージ機能

複合機は、社内LANに接続しています。データ化した文書を社内の関係者に送ったり、社内の共有フォルダに保存したりといった操作が、複合機側からできます。特に定型業務にふくまれる複合機を使用するプロセスは、人の操作を最小限にして、あとは自動化して、機能活用による効率化を進めます。

②従来の機能を活用する

複合機となる前は、コピー機であり、FAX機でした。FAX機能は、いまだ行政からの連絡はFAXでおこなわれます。FAXで受信した文書を担当者の机に分ける習慣が残っていますし、メールでは担当者の目にしか触れませんが、FAXであれば担当者以外にも見られる可能性があります。

調達・購買部門であれば、各サプライヤーへ一斉に連絡する事態もあるでしょう。過去は「正式」な文書は郵送で送りました。しかし、文書が相手に届き実物を手にするために、メールよりも「正式感」を演出したい場合、FAXが活用可能です。

③複合機ゆえのリスクに備える

さまざまな機能が集約されて、効率的である半面、本体の故障によって、すべての機能が使用不能になるリスクを抱えています。一定の規模以上の企業では、複数の複合機を配備しているでしょうから、使用する機種をLAN上で切り替えできる状態にしておきます。

またLANに接続され、コピーやFAX、スキャンでさまざまな書類のデータが、一時的に複合機内のハードディスクに保存されます。つい先日も複合機内のデータが、インターネット上で閲覧可能となった問題がありました。コピーであっても、いわゆる複写ではなく、一度文書をデータ化して印刷します。複合機メーカー各社は、安全対策を打ちだしていますが、余計なデータをむやみに保存したままにしないといったユーザー側の対策も必要です。

(つづく)

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