バイヤーが最低限知るべき、サプライヤ決算書「これだけ」パート1(坂口孝則)

調達・購買担当者が最低限しるべき決算書の基礎について数回にわけてお話します。

・まず会社とは何なのか

会社とは何か。ここでは哲学的な定義はやめて、単純に「株主のものだ」とします。しかし、それでもじゅうぶんではありません。会社とは企業の一部です。どういうことかというと、企業は大概念で、そのなかに会社があります。株式会社が大半ではありますが、あくまで分類の一つにすぎません。持分会社がありますので、会社といってもひとくくりにできないものです。

ここでは、企業のなかに会社なる概念があることを覚えておきましょう。

さて、会社は主に、利益を追求します。なぜか。それは株主がそう命令するからです。もちろん社会的責任はありますし、金稼ぎ以外に重要なことがあるといった議論はあります。しかしそれでもなお、会社の宿痾は、金を稼ぎ続ける宿命を背負っていることですし、なんだかんだいって会社はそれ以外の明確な尺度を見つけきれていません。

そのように会社は、利益の追求=営利活動を行います。会社は、個人企業とか個人事業主にたいして多くの便益を受けています。ただ、その便益を受ける代わりに、さまざまなルール順守をせねばなりません。そして決算書なるものを作成・開示することで利害関係者への責任を果たします。

まず

1.一定期間ごとにその決算書を作ります。
2.しかも、社会が決めたルールにしたがって厳格な決算書を作ります。
3.それを利害関係者に開示し審査を受けます。

といったことが前提です。その決算書とは

・損益計算書
・貸借対照表

を基本とした書式類で、会社の成績等を示すものです。

なぜこのような決算書を必要とするかというと、会社にまつわるさまざまなプレイヤーがいるからです。

「株主」「取引先」「従業員」それぞれの意義を記しました。

そこで次に、その決算書は何かを示します。

人事評価でもそうですが、大切なのは、多面的な評価です。それは会社でも同じです。儲けた結果は大事です。しかし、それだけではありません。決算書には代表的な三つの資料があって、角度を変えながら会社の評価を実施します。

・損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)
会社がアスリートだとしたら、大会で獲得した賞金(儲け)を見るもの。経営成績を示し、「収益―費用=利益」となる一連の流れを記載する。

・貸借対照表(B/S:Balance Sheet)
会社が大会で賞金を獲得するまでに、どのように鍛えたか、あるいは潜在的能力や底力を見るもの。財政状態を示し、資金調達の源泉や、その運用状況を記載する。

。キャッシュ・フロー計算書(C/F:Cash Flow Statement)
その大会で獲得したとされる金額と実際に手に入ったお金が一致しないことがある。そこで、キャッシュ・フロー計算書では、手許に現金・現金同等物がどれだけ残ったのか(減ったのか)を示す。

三つの資料は、それぞれ絡み合いながら存在しています。結果と体質と実際。いい会社はそのバランスが優れているのです。

そして次回以降、決算書の本質についてお話しします。

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