ほんとうの調達・購買・資材理論(牧野直哉)

●2-4どこに向うのかを示す!~調達購買ビジョンの重要性

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ビジョン「ビジョン」とは、未来への展望であり、未来像、また先行きの見通しです。企業によっては「理念」とも表されます。企業を取り巻く環境の変化のスピードが速い現代では、どう進むべきかに迷い、悩んでしまいます。そんな時立ち戻って確認し、行動の基準とするのがビジョンです。

☆調達購買ビジョンとはなにか

調達購買部門では、業務を進め具体的に「何を」実現するのでしょうか。実際はコスト削減であり、高い品質であり、短い納期です。一方ビジョンとは、これら具体的な責任をまっとうした先に「何を」求めるのかを考えた上で設定します。多忙な業務の中で忘れてしまいがちなもの。それは、企業市民としておこなう社会への貢献です。バイヤーが業務を進むべき道を指し示す方向性が調達購買のビジョンなのです。顧客、サプライヤーそして業務を実行するバイヤー、皆が納得できるビジョンは、企業市民として不可欠なものです。調達購買ビジョンとは、業務を進める上での理想を、利害関係者であるサプライヤーや社内の関連部門で働く同僚に対して、共通認識として誰もがわかりやすいように示し、高らかな宣言に意義があります。

調達購買ビジョンは、調達購買部門メンバーの総意が必要です。業務を通じてどのような未来を求めるのか。社内にも、もちろんサプライヤーにも納得してもらえる内容が求められます。企業ビジョンと同じように、調達購買ビジョンには、次の3つの要素が含まれていなければなりません。

1. 調達購買部門の存在意義
2. 調達購買部門の持つ価値観
3. 調達購買部門が考える将来展望

まず「調達購買部門の存在意義」です。ここには、なぜ調達購買部門が企業内に組織として存在するのか、その根拠、理由が述べられていなくてはなりません。企業内に存在しないリソースを社外から適正なOCDレベルで確保するといった内容が最低限含まれなければなりません。加えて、調達購買部門の業務が企業の使命のまっとうに不可欠であり、顧客ニーズを満たすお客様の視点も必要です。

続いて「調達購買部門の持つ価値観」です。これは調達購買部門の掲げる目的をどのように達成するのか、その方法を示します。目的を達成する過程で、どのように業務を進めるのか。掲げるだけでなく、どのように行動すべきかを示します。価値観そのものよりも、調達購買の実務部門が設定する内容ですから、具体的な行動内容で示します。この部分は、ビジョンの性質上、将来的にはバイヤーの行動を律する内容になりますので、調達購買部メンバーの相違でなければなりません。

最後に「調達購買部門の抱える将来展望」です。これは、抽象的でなく、明確にイメージできる内容でなければなりません。当然ながら、企業や事業のビジョンとも合致する内容とします。

☆調達購買ビジョンの意義

社会貢献を見据えた調達購買ビジョンは、企業全体のビジョンと整合性を保たなければなりません。調達購買部門のビジョンを設定したら、社内の関連部門に周知します。周知して、ビジョンが公然となれば、バイヤーの行動にも影響を与えます。調達購買部門のメンバーの行動も、部門のビジョンを実現させるものでなくてはなりません。したがって、ビジョンとは調達購買部門に所属するバイヤーたちの意志決定や、行動に大きく影響するものでなければなりません。

宣言すれば、バイヤーの行動がビジョンにうたわれた内容と整合しなければならなくなります。企業市民として妥当性を兼ね備えた業務内容を、ビジョンを設定し、宣言し、ビジョンを調達購買部門として実現するのです。宣言するだけでなく、迷ったときに立ち返り、何度も振り返って、言葉が行動につながり整合性をもって、ほんとうのビジョンとなるのです。

☆サプライヤーへ(調達購買)ビジョンを宣言する意義

サプライヤーとのやり取りの中での具体的な行動でも、ビジョンとの整合性を意識しなければなりません。サプライヤーとのビジネスには、契約であったり、さまざまな法規制だったり、順守すべき法律やルールが多く存在します。サプライヤーへのビジョンの提示は、法律やルールを順守した上で、サプライヤーと共同して、どんな未来を形作るのか、具体的実行に移す宣言です。

また、サプライヤーとの関係では、利害をめぐり、対立せざるを得ない側面もあります。そんなときこそ、社会的貢献を目指したビジョンを共有して、短期的な利害を超え、さまざまな困難を乗り越えられます。サプライヤーとの関係を良好に維持するために、ビジョンを双方で共有し、ビジョンに基づいて行動が、現代の調達購買部門にはもとめられているのです。

<つづく>

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