調達・購買担当者の意識改革~特別編パート2「コスト目標を達成し、トップバイヤーになる2条件」(坂口孝則)

・調達・購買担当者は「要するに」何を確認すべきか

みなさま、さきほどまで工場を見る要点をお話ししてきました。(注・有料会員の方々はバックナンバーをご覧ください)。お次に、見積書を眺める力の「要するに」です。「要するに」何を確認すべきかっていう話です。

私は常日ごろ「人のコストを見る力が一番大切だ」といっています。作業者と呼んでも、ワーカーと呼んでも、なんでもいいんですが、製品を作る人たちのコスト査定力です。

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この図をお見せしました。では、ここからは「労務単価」の査定方法についてお話します。バイヤーとして、調達・購買担当者として、どうやってサプライヤの労務費を査定すればいいのか。

この鉄則は、「その作業者が一秒あたり」あるいは「一分あたり」いくらかかるのか。これを計算して、作業時間をかけあわせることです。前者を「賃率」と呼び、後者をそのまま「作業時間」とか「加工時間」とか呼びます。

この後者の時間については、工場を見学してストップウォッチで測ればいい。しかし、前者が難しいんですね。なかなか、作業者の時間あたりコストを把握することはできない。本気でやろうと思ったら、いくらでも複雑な計算式になりますからね。ここでは、しかし、それをやってしまいましょう。

まず、問答無用に(笑)、これを覚えてください。

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サプライヤの労務費を計算するやりかたです。つまり、サプライヤ作業者の労務費ですね。画面では「月」、すなわち一ヶ月分の労務費を求めています。ここで、黄色になっているところありますよね? ここがミソなんです。この黄色箇所は、サプライヤから聞くなりして調べてもらいたい。でも、その他のところは、いくらでも手抜きできます。白抜きのところは、なんなら私の公式通りに当てはめてみてください。

まず、サプライヤ従業員の給料を黄色に入れますよね。あとは、このとおり掛け算してください。「迷ったら」と画面になっていますが、このとおりです。給料に、福利厚生費のような付帯人件費率、そして工場の間接作業者、また作業標準作成する人とかのコストがかかります。そうやって掛けていくと、画面右側の「サプライヤ労務費(月)」が計算できます。

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あとは、これを時間で割るだけですね。一ヶ月の労働日が22日で、一日の規定時間が8時間、そして想定稼動率が90%だったら、分母は「22×8×90%」になります。これで時間あたりコストが求められます。もちろん、分あたりコストでしたら、分母は「22×8×60×90%」ですし、秒あたりコストでしたら分母は「22×8×60×60×90%」ですね。

おなじく黄色のところだけはヒアリングなりでたしかめる。でも、これでだいぶラクに計算できるとおわかりいただけるでしょう。

・設備も査定してみよう

次に、難しい設備の査定について話します。まあ、なんでも難しいんですが(笑)。

この設備も労務費と基本的にはかわりません。時間あたりのコストを算出して、それを時間でわって計算します。同じく賃率を計算してみるんですね。それをあとは、設備が動いている時間で掛け算する。労務費のところでも説明したとおり、この後者の時間(「設備が動いている時間」)については、工場を見学してストップウォッチで測れますよね。みなさんの製品一つを生産するために、その機械が何秒動いているか、です。

しかし、これまた前者が難しいんですね。なかなか、設備の時間あたりコストを把握することはできない。これも、本気でやろうと思ったら、いくらでも複雑な計算式になりますからね。でも(笑)しかし、それをやってしまいましょう。

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この講義は「要するに」を教えることです。本来は、設備の価格にくわえることの、「建屋単価」「償却・税・保険料率」「電力コスト」「消耗工具費」「間接材料費」「設備修理費」「設備共通率」などを加算する必要があります。ただ、私はここで大胆に、迷ったら設備価格を1.2倍してくれといっています。良いのでしょうか。

良いのです(笑)。大胆ですが、それでも基準がないよりも、あったほうがはるかに良いですよね? もちろん、深堀りしたい人は調査なさってください。ここでは「要するに」ですから。そうすると、設備の付帯費用まで計算できてしまいます。

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で、それから時間あたりコストを導くために、このような計算式を使います。

耐用年数=その設備を何年使うか
年間可動可能時間=操業時間
稼動率=操業時間のうち、良品を生産している時間のことです

これで計算する。ここであえていうと、耐用年数をどう設定してよいか迷いますね。ここでも、大胆にいってしまいます。日本で唯一の基準は、財務省が出している「法定耐用年数」ですね。だから、基本的にはこれをベースにするんです。でも、問題は、この法定耐用年数って長すぎるんですね。だから、このまま使うわけにはいきません。

なぜ法定耐用年数が長いかというと、もう時代にあっていないんですよ。たとえば、レストラン店舗用の木造内装なんて20年かけて償却することになっている。いま、20年も同じ内装で商売できるところなんてない。じゃあどうするか。

法定耐用年数を×0.75倍したものが、実際(実態)の耐用年数に近い。だから、一つの方法としては、この×0.75を使ってください。

・最後に管理費も査定してみよう

最後に管理費です。管理費っていっていますが、ここでは、利益も含めて説明しています。要するに、材料だとか設備加工費以外に、どれくらいの粗利益を確保させるべきなのか。そしてどれくらいが妥当なのか、です。

ここでも「要するに」でいいますね。結論だけいうのであれば、製造業ならば、価格の20%が妥当だと考えています。つまり、100円のものだったら、20円が管理費だとか利益だとか、そういうやつだと。

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これが2012年の売上利益率の業界平均です。ちょっと小さい図ですが、拡大してご覧ください。これで、製造業が20%と申し上げた理由がおわかりでしょうか。

釈迦に説法でしょうけれど、基本的に次のようになっています。

ですので、お見積書などで、製造原価が50円だとしますよね。そうすると、さきほどいった売上総利益が20%ということで、50円×1.2=60円と計算してしまいがちです。まあ、簡易的にはこれでもいいかもしれませんけれど。ただ、そうすると、管理費っていってもいいし、管理費利益でも粗利益でもいいですけれど、10円となりますよね。

この10円は、10円÷60円=17%なんですね。20%ではありません。ここでは、(20%×50円)÷(1-20%)を解くことになりますね。なぜこの式かって? エクセルか紙に書いて計算してもらえればすぐにわかりますよ(笑)。これを解くと12.5円になります。

確認すると、50円+12.5円=62.5円です。62.5円に占める12.5円(粗利益)の比率は、12.5円÷62.5円=20%です。ほら、あっているでしょ?(笑)

とまあ、こうやって、すべての領域を見つめる「要するに」をお話しました。今回は時間が短かかったものの(40分の講義でした)、つまるところ何をすればいいのかだけを考えてお話しました。それではまた!

 <了>

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