交渉前の確認

一般的に調達・購買担当者は、交渉に関して並々ならぬ思い入れをもっています。事実、さまざまなバイヤーと話をすると、交渉はバイヤーの中心的な仕事だとか、交渉こそバイヤーにとって最も重要な仕事だといったコメントが多く聞かれます。

 

果たして本当でしょうか。

 

では、それだけ力を入れている交渉で、バイヤーのみなさんが大きな成果を獲得しているのか、ちょっと意地悪な質問をしてみると、はいと自信を持って答えたのは、数多くのバイヤーの中でも1人だけです。他の数百名のバイヤーは、交渉を仕事の中心と位置づけ、重要な仕事であると認識しているにもかかわらず、思い通りの成果が得られていないのが実情のようです。

 

これって、非常に悲しい事態ですよね。すごく力を入れているにもかかわらず、なかなか成果が獲得できない。もしも、投入している時間に対して成果が乏しいのであれば、やっぱり投入する時間の配分を見直すべきじゃないかなと思います。いっそのこと、本当に交渉をすべきなのかどうかについて一度疑ってみることをおすすめします。

 

というのも、交渉ってしなければしない方が効率的ですよね。交渉なぜ行うのか。価格の見極めであれば、見積書に適正金額の提示をサプライヤーにお願いすればいいのです。バイヤーは見積もりをチェックすればすみます。交渉は必要ありません。言うなれば、見積書が提出された後に交渉するのではなく、見積もり依頼を行う際に提出方法についてサプライヤーと合意するのです。

 

この考え方には、見積もり依頼方法について従来とは異なるテクニックが必要になります。そして社内の関連部門を含めた協力体制を調達購買部門が主導して構築しなければ、効率的な交渉を必要としない見積書の提出は望めません。

 

交渉と同じ位かそれ以上に業務ボリュームが増加するかもしれません。しかし一時的なものであり、常にサプライヤーとの間で交渉を行うよりも素早く価格決定行って注文書の発行が可能になります。

 

いきなり交渉を止めるのは、バイヤーにとって不安になるでしょう。交渉しなかったらいったいバイヤーは何をすればいいのか、そんな風に感じる方もおられるでしょう。しかし、サプライヤーとの価格交渉以外にも今、調達購買部門には従来とは異なるさまざまな新たな課題が到来しています。交渉全く行わないのではなく、過度に交渉に依存した業務内容は見直すべきだ、私はそう考えています。

 

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