バイヤーが交渉で絶対使ってはいけない言葉
私は、できれば交渉はしたくないと思ってバイヤー業務を行っていました。しかし、実際はサプライヤーと購入条件をめぐって様々交渉を日常的に行っていました。そんな中で、多くのバイヤーが多頻度で使うにも関わらず、全くサプライヤーの営業パーソンに響かない言葉に気づきました。
「安くしてください」
確かに、バイヤーに寄せられる期待は、購入価格の低減がもっとも高いであろう状況は容易に想像がつく。しかし、だからといって購入価格を安くして欲しいと直球でサプライヤーに伝えたとしても「はいわかりました」と交渉が合意することはほぼ100%ないだろう。なぜか?
サプライヤーの営業パーソンは、日々バイヤーと交渉しており、彼らはいかにして販売価格を上昇させるかを日常的に考え実践している。多くのバイヤーが「安くして」といえば、その言葉に対する対応はもっとも得意とするはずだ。バイヤーがサプライヤーの営業パーソンに「安くして」と発言するのは、自ら相手の土俵にバイヤーがノコノコと上がる状態を意味する。相手の土俵で交渉という相撲を取らなければいけなくなるのである。
たしかに社内には購入価格を安くして欲しいニーズが存在するだろう。しかしそのニーズを、何の工夫もなくそのままサプライヤーに伝えるのであれば、そもそもバイヤーの存在意義が疑われる結果になる。だから、安さを購入で実現するために、何をどのように伝えればよいのかは、すべてのバイヤーが悩み考え答えを出さなければならない、私はその様に考えている。
「だったら、サプライヤーにどのように言えばいいのですか?」
かつて、同僚や部下から、この考えを披露すると必ず受けた質問である。答えは「安くして」以外のすべての言葉を駆使して、ターゲットを達成する購買価格を実現すればいいのである。使える言葉は無限大だ。どんな言葉を選択するかがバイヤーが兼ね備えた競争力につながると、私は信じている。