どうやって交渉するのでしょうか?
最近では「いかに交渉しないか?」という考え方も有るようですが、やっぱりバイヤーはサプライヤーとの交渉と呼ばれる場に身を置くことが多いと思います。私もバイヤーになりたての頃、一番悩んだのがこの「交渉」です。一体どうやって価格交渉を行うのか?交渉とは?について悩みました。そして、今思っていることです。
交渉ってその場だけではない、と言うことだと思います。ましてバイヤーの行う交渉は、映画に登場する交渉人(ネゴシエーター)のような、人の命を救い出すといった類いのものではありません。その場で全てが決するものではないと思っています。従い、今日まさにこれから重要なサプライヤーと交渉する!といっても、その場で得ることができるものは、それまでのサプライヤーとの関係の総括であり、将来の発注者、供給者間で行われるビジネスへの期待が現れるものだと思います。
例えば、交渉など、そもそもすべきではない、との意見。これって、交渉というものを時間的に非常に長いスパンで捉えていると私は思います。そもそも売りたい金額と買いたい金額が同じであれば、交渉など必要ないと思います。しかし、売る側も、買う側も、少しでも自分にとって都合の良い条件で購入しようとします。お互いがその自分にとって都合の良い条件を相手にぶつける場=交渉となってしまっているわけです。そもそもせっかくお互いが同じ場所と時間を共有する場で、お互いの主張をぶつけ合うなんて、ちょっともったいないと思います。売りたい条件、買いたい条件なんて、今のご時世メールで連絡できるわけです。その上で、とっても貴重な直接会って、時間を共有できる場をどう活用するか?です。
私が交渉そのものを時間的に長いスパンで捉える理由は、今までの経験で、交渉の場の弁舌のみで事態が一気に好転したり、予想以上の好結果を得られた経験がない為です。従って、普段からの積み重ね=交渉結果と捉えているわけです。普段の積み重ねとはなんでしょうか?
私はサラリーマンのバイヤーでした。そしてこれまで相対してきた方も、サラリーマンの営業マン達です。サラリーマンは基本的に管理されています。勤務時間から、売上・損益などは当たり前に制限や目標があります。例えば、期末になれば翌期の売上げと損益の見通しをいまいましい(そんな人ばかりではないでしょうけど)上司に出さなければならない訳です。逆に言えば、バイヤーも一緒ですよね?営業マンもバイヤーも、一歩踏み込んで考えると、自社の利益を追求しています。その方法が異なるだけです。そういう相手の立場にバイヤーとしてどれだけ配慮ができるか?普段の積み重ねとは、ちょっとした相手への配慮の積み重ねだと思います。
配慮といっても特別なものではないです。特に「気遣いくん」になる必要はないと思います。まず、約束を守る、これからでしょう。営業マンからの依頼って意外にたくさんありませんか?提出してもらった見積を検討する、将来の発注見通しを確認して回答する、期日までに購入代金を支払う、そういったとっても当たり前のことを普通に淡々と行う。そしてこれが大事なのですが、できないときはその旨事前に連絡する事。これをやっていれば、おのずと配慮あるバイヤーになれると思うし、逆にこの程度でその他バイヤーから抜きに出られるということは、いかに日本のバイヤーのレベルが低いか?ということの裏返しでもあります。今だったら簡単に普通と違ったバイヤーになれるわけです。
ちょっと交渉とは?とは離れた話になりましたが、要はある日、ある時、その時だけに交渉が行われるのでなく、一回だけの購入と言っても、その一回の見積依頼~支払いまでを交渉のプロセスと考えてみると、いろいろやるべき事が出てくるはずです。交渉と言っても、魔法の様にコロッと良い結果が転がってくるわけではないと思うのです。