今、最も重要な調達・購買部門の課題
今日、駆け足でサプライヤーを3社訪問してきました。全く供給品目がが異なるサプライヤーでしたが、どのサプライヤーでも同じテーマの会話が行われました。
あるサプライヤーでは、リーマンショック前より、そしてで別のサプライヤーでは、かつてのバブル期を超えるほどに需要が高まっているそうです。新規のお客様や、たまにしか仕事をしてこなかったお客様は、申し訳ないと思いながらも安易に請け合いができないほどに仕事にあふれていると、喜ぶよりも少し悲しげに話をするサプライヤー担当者の表情が印象的でした。
大手企業が発注するサプライヤーであったとしても、実際に生産に必要なリソースをすべて社内で賄えるような企業は存在しません。したがって、サブサプライヤーを活用し仕事をこなしています。そういった外注先の確保が困難になっているのです。特に特殊な設備が必要だったり、特別なノウハウを要する外注先の確保が難しいと頭を抱えていました。
そういったサプライヤーの能力不足に苦しんでいる企業はどうしているのか。 日本国内のサプライヤー能力不足の影響は今、海外にも及んでいます。長年良好な関係を築いてきた中国のサプライヤーに、別の仕事が入ったからという理由で断られることが増えたと嘆くサプライヤーもいました。能力獲得競争までもグローバルに展開しているのです。
先日開催した調達・購買「私塾」では、 こんな時代だからこそできる、そしてやらなければならないサプライヤー開拓方法について講義を行いました。我々バイヤーが欲しいのは、自社に存在しないリソースです。決して新たなサプライヤーではありません。結果的にリソースを求めた結果、新たなサプライヤーと取引を開始するケースはあるでしょう。でもそれはあくまでも結果論です。
多くの企業が、日常的に必要以上のサプライヤーの口座を開設し、利用されることもなく維持しています。少なくとも、全く新しいサプライヤーを開拓するのと比べれば、一度でも購入した実績があるサプライヤーの方が、仕事がやりやすいでしょう。それほどに購入実績は、明日後は一度の購入であっても大きいのです。ただでさえ能力不足が顕在化している今、これまで全くサプライヤー開拓をしたことがないバイヤーに「新しいサプライヤーを探してこい」というのは簡単ですが、実現するのは非常に困難でしょう。だったら、一度でも取引しているサプライヤーの事業内容再確認して、自社に活用できるリソースを持っていないかどうかを丹念に行う方が、よっぽど業務に役立つはずです。新しいサプライヤーの開拓といった言葉に惑わされることなく、自社に必要なリソースの探求が今、調達・購買部門に求められているのです。