坂口孝則の「超」調達日記(坂口孝則)

■9月X日(月)■

・結局、日曜日の夜までiPhone5のソフトバンクショップから電話がかかってこなかった。まだ中国の工場が止まっているのか、それとも、予定以上の数量が予約されているからなのか。フォクスコンの労働問題が、今後アップルにどんな影響を与えるかはわからない。アップルの株価は高値を更新しているとはいえ、ティム・クックの指導力、ウィンドウズフォンと比べた優位性、アップル商品の魅力……。これらがどこまで続くかはわからない。

朝9時からセミナーの打ち合わせ。なんかセミナーの打ち合わせばっかりやっている。9月は「地獄」と私が呼んでいた期間。それがやっと終わろうとしている。週に2回も3回も講演とか研修したら疲れるよね。

・その後、羽田空港まで行く。理由はお客さんが「東京ばな奈羽田空港限定品」がほしいといっていたから(念のために申し上げておくと、買ってくれ、と頼まれたわけではない)。正確には羽田空港と東京大丸での限定品だった。「東京ばな奈キリン」だそうだ。女性はこういうの好きなんだろうなあ……。2つ買って送る。

・すると編集者からメールが! 原稿の催促かと思ったら、「ジッタリンジンを語る会を開催しましょう!」と(笑)。そういえば、ぼくがどこかで「ジッタリンジンが好き」と言っていたからか。ちなみに、名盤は「パンチアウト」の「ひっこし」だろう。あまりに切なくて泣けてくる。

・と思っていたら、もう夜になってしまう。こうやって人生が過ぎていくのは良いことなのだろうか……。

■9月X日(火)■

・朝から人形町でセミナー。参加者が熱心なので、大変うれしい。メモ率と、満足率が相関しているとすれば、今回は好評だろう(と思っていたら、アンケートで予想通り好評だった)。セミナー講師というのは、ひたすらアウトプットの仕事だ。その意味では、自粛して現場の仕事をもっとやりたいと思う。稼げるからといって、現場の仕事から遠ざかれば悲惨なことになる。この前、ITツール活用セミナーに参加したけれど、その古さに驚いた。おそらく、講師はネタの収集を怠っているからだろう。俺も、参加者にそう思われなければいいけれど……。

・その後、会食。けっこう遅くなってしまった。

・帰宅後、23時から書きかけの原稿をフィニッシュさせる。実は、この翌週は一週間ばかりお休みをとる予定で、前倒しで書き上げている。これまで、原稿執筆の速度について作家が書いているエッセイについてたくさん読んできた。おそらく最速は作家の森博嗣さんの、「1時間5000字」というものだろう。速すぎる。しかも、森さんは構成やキャラ設定がうますぎる。おそらく、こういうひとを天才と呼ぶのだろう。森さんの最高傑作は「封印再度」かな。

・ところで、以前、ダイヤモンド社で仕事をしたときに、それ以上の速度を誇る先生について聞いた。それは、経済学者の野口悠紀雄さん。野口さんのところに、緊急出版のお願いをしにいったら、二日後に一冊分の原稿を完成なさったという。ここまでくると、笑うしかない。しかも、その本は5万部以上売れた。ということは、500万円ほどが氏に振り込まれたはずで、日給250万円ということになる(笑)。そういえば、森さんは「1文字を換算すると100円だ」とおっしゃっていた。ということは、一冊が10万字なので、1000万円が平均ということか(笑)。凄すぎますよ、先生

■9月X日(水)■

・あの大作家・筒井康隆さんの「ビアンカ・オーバースタディ」が面白い。しかも、あとがきで担当編集者を批判している(笑)これが本編よりも面白いのだ。中身はこのURLをご覧いただくとして、この太田さんという編集者、自身について書かれた批判文章を宣伝に使ってしまうのだから、さらに凄い(笑)

・お昼から光文社の編集者と打ち合わせ。新刊の話や、業界よもやま話など。面白かったのは、amazon.comのkindle(電子リーダー)が10月にいよいよ日本に上陸すること。これまで著作権の扱いで日本上陸が難しかったkindleだけれど、やっと権利系の課題が片付いた様子。ぼくの本も電子化されて、kindleで売り出されるようだ。まあ、ぼくはこれで日本の出版界が活況になるとは信じられないのだけれど……。

・与沢翼さんの「スーパーフリーエージェントスタイル」を買う。初版1万部にたいして、あまりに人気で書店に置いていないという。3軒の書店をまわって、やっと買った。一読して、思った。「これは異常なほどの批判にさらされるだろう」。事実、amazonのレビューでは、批判ばかり。本書は、29歳の与沢翼さんが、月収1億円になり、月の家賃250万円の東京ミッドタウン最上階に住むまでの、ビジネス遍歴を描いた自伝(のようなもの)だ。言っていることは至極まとも。過激なところもあるけれど、愉しく読める。しかし、それでもなお、ここまで赤裸々に書くと、批判者は続出するだろうな。それに、与沢翼さんのビジネスは、情報商材とマルチレベルマーケティングなわけで、相当な嫌悪感を抱いているひとも多い。

・しかし、まあ、この手の本は、距離を置きつつ、愉しめるところは愉しみ、参考にするところは参考にする、という程度にしておけばいいと思うのだが……。良くも悪くも、原論の自由は誰にでも保証されているのだから、「こんなこと言ってケシカラン」と批判してもねえ

■9月X日(木)■

・ぼくの新刊である「野比家の借金」がamazonに登場した。10月17日発売のようだ。売れるといいな。ゲラの2回目チェックをしていると、この日、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 20」が発売されたので、買いに行く。出張前にスーツで買いに行ったのだけれど店員さんから気持ち悪そうな顔された。

・10時発のあずさ10号で長野県岡谷へ。これが2回連続講演の2回目。長野県は寒いと思っていたら、あんまり寒くなかった。13:30から会はスタート。100分も話すんだけれど、体力切れ。話し終わったらクタクタになった。

・話の内容は、「顧客ヒアリング」について。つまり、営業の立場から、いかに客先の調達・購買担当者や設計担当者から重要事項を聞き出すか、というもの。ヒアリングだけで一つの授業になってしまう。しかし、強調したのは、調達・購買担当者や設計担当者を「ダマすことが解」ではないということ。ダマして売ることができても、それは一回きりだ。企業間取引では、中長期的な関係を構築する必要がある。真摯に、そして真剣に営業活動をすること。すごく凡庸で下らない結論だけれど、そのなかの真実は、その凡庸で下らないもののなかにあるに違いない。

・その後、近くのレストランで多人数で会食。地方のものづくり復活に向けた意気込みを聞かされた。「先生はどう思いますか」と訊かれたので「いまのままの製造業の形では難しいでしょう」と答える。暗くなってしまった。しかし、アジア勢の安価・高品質なものが多量にやってきているいま、ヘタな楽観論を述べる気にはならない。

・けっきょく2次会までいって、解散。頭がクラクラしてきた。

■9月X日(金)■

・この日、paypalの不具合について聞いた。この「ほんとうの調達・購買・資材理論」をpaypalで決済しているひとも多いと思う。どうも、paypalが新規カード決済をあまりに厳しくしたことで、定期購読のカード更新ができなくなっている様子。

・ぼくがかわりに謝ります。すみません。もし、この読者のなかで、paypalのカード更新が難しく、そのせいで購読継続できなかったら、事務局までおっしゃってください。すみません。(info@cobuybtob.com)。面倒くさい理由で、みなさんとの縁が切れるのは、ほんとうに残念なこと。あるいは、新サイトからお手続きをよろしくお願いします。

・ところで、この読者のなかで「未来調達研究所」サイトのなかで、ご自身のアイテムを販売したいひとはいないだろうか?(情報コンテンツ)いらっしゃったら、ぜひご連絡していただきたい。というのも、簡単に商品登録ができ、しかも決済手数料は3割程度しかかからない。これは業界の中でも最安値の分類だ。現在は、ぼくと牧野先生以外では、梅原先生しか掲載していないけれど、けっこう売れている。これも、ご希望者は(info@cobuybtob.com)までご連絡を。3000円の商品が100個売れるとすると、21万円ほどになる。これは小さくないはず。

・夕方、グランドハイアットのフレンチキッチンに行く。予約が取りにくいと思われているけれど、あっさりと予約できた。ひとり単価が平均15000円というのは、たしかに高いかもしれない。だけれど、行ってみる価値はある。2時間ほど会食のあと、帰宅。

・もうちょっと頑張って、来週は休もう!! そのために、あと二つの原稿を書かなきゃ!。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい