『調達戦略はその通りにいかないので、役立たないわけではない。その通りにいかないので、役立つのだ。』

調達戦略とは羅針盤である。羅針盤でも、航海図でも良いが、それらがなければ、目標がはっきりしない。日々の調達活動を漠然と実施するほかなくなる。もちろん、調達戦略は、そのまま実現するのが一番である。

しかし、実際に調達戦略どおりにいくことが多いかというと、少ない。ビジネスや市場環境はいつも変わっているため、制約条件等も変化していく。だから、「調達戦略など役に立たない」と述べるひとまでいる。ただ、戦略が達成できないから、戦略は不要だとは奇妙な論理である。戦略は不要ではないのだ。

戦略で描いた図と、現実との差は、いつでも私たちに明確な径庭を示してくれる。もっといえば、戦略立案時点での、自らの「読みの甘さ」をこれ以上に教えてくれるものはない。客観的状況を冷静に冷静に拾い上げていけば、おのずと毎年ブラッシュアップできるはずである。漫然と作成してはこうはいかない。必死に作ってこそ、戦略書は進化する。

調達戦略はその通りにいかないので、役立たないわけではない。その通りにいかないので、役立つのだ。

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