臆病者のためのコンサルタント起業術②
・コンサルで重要なのは振り込んでもらうこと
大企業のひとは信じられないでしょうが、コンサルタントとして独立しようと思えば、「入金してくれる相手」と付き合うことです。
当たり前、と思ったあなた。それは当たり前ではありません。仕事をして、振込入金期日に振り込まれないなんてたくさんあります。メールをして、電話をして、それで、さらに価格交渉してくるなんてこともあります。
10万円の仕事で、そういう手間ひまがかかってしまうケースもあります。ですから、「ちゃんとしたひと」を選べるかどうかは実はきわめて大きいのです。
しかし、同時に、もう一つの問題もあります。ちゃんとした大企業であるほど、個人経営のコンサルティング会社を相手にしてくれないのです。あるいは数人でやっているコンサルティング会社を相手にしてくれないのです。
これはきわめて大きな問題なのであとで取り扱います。
・取引先が倒産したら
笑い事ではないのが、相手先の倒産です。
業績のいい会社はやはりコスト意識がしっかりしています。しかし、倒産するような会社は、けっこういろいろと注文するのです。そしてあなたが受注したとしても、それが振り込まれずに倒産してしまうケースもあります。
もっとすごいのは「わかるけれど、払えない」と居直られるケースです。もちろん裁判とか、さまざまな方法は残されています。しかし、実務上、そんなことをやっていられません。だから泣き寝入りするしかないのです。
会社が倒産したら、まず残金(整理してなんとかできた現金)を税金がもっていきます。そのあとに、その会社の従業員給料に充足されます。われわれのような取引先は、ずっとあとです。だから、取引先が倒産したら、もうゲームオーバーなのです。
・ちゃんとした会社も支払いは遅い
そして、もう一つの問題は、払ってくれるとしても、現金化できるまで期間が長いということです。これこそサラリーマンがもっとも注意せねばなりません。
サラリーマンであれば、毎月の給料が払われます。でも、起業家は、営業活動から、受注、支払いまでが時間いっぱいにかかるのです。
たとえば、1年間の営業活動をやって、受注して、そしてコンサルタントとしてプロジェクトが終了したとします。それで、検収してもらって、支払いは、3ヶ月後とします。そうすると、2年間くらいは現金がなくまわさねばなりません。
しかも決算上は黒字になっています。これは決算書がわからないひとには致命的なのですが、発生主義というのは、売上がたったときに(あたかもお金が入ったかのように)○○○円と計上するのです。そのあいだ、賃貸とか、もしかしたらバイトの報酬とか、もろもろの費用を払うかもしれません。キャッシュは出ていくのですが、売上のキャッシュは入ってきません。でも、決算書上は儲かっているように見えるのです。
しかも税金はまってくれません。お金が入っていないのに税金を支払うの?と思うかもしれません。でも、制度上、支払わねばなりません。
だから、コンサルタントという名前をつけていながら、自分こそ資金繰りが大変で困窮する、という場合があります。見た目黒字で、キャッシュがなく倒産。これを黒字倒産と呼びます。
・簡単な方程式
そこで、私が推薦するのはこういう方法です。コンサルタントとして独立したい人は、いっかいやってみてください。
・まず相当、厳し目に売上計画を立てます①
・毎月の経費を計算します②
・自分の給料を仮定します③
そして、①を三分の一にしてください。そして②を2倍してください。そして③をさらに引いてください。そうすると、たぶん赤字になるはずですよね。それで、1年は大丈夫の資金を準備して独立してください。
え、そんなお金がない? その場合は、借りてください。その程度が借りれないひとは、たぶんうまくいかないと思います。
臆病者の必勝法は、勝つことではありません。できるだけ負けないことなのです。