5-(5)-2 サプライヤーの評価方法「私の経験」

「このサプライヤーの株を購入しようと思ったら、いくらくらいまでなら出せるか検討しておけ」

突然の上司からの指示に戸惑ったことがあります。「サプライヤーへの出資?」。なんだか大きな仕事のような気がしたからです。「あのサプライヤーを買収するんですか?」そう訊いてみたところ、「そうじゃないが、株主安定化のために、第三者からの譲渡としてウチにいくらか保有してほしいらしいんだ」と。

それまで、毎日矛盾と苦悩にまみれていた仕事ばかりしていた私にとって、企業間の将来戦略に関わる仕事はどこかインテリジェンスに思えました。私の上司への返答は当然前向きなものです。

「分かりました。とりあえず検討してみます。ところで、どうやったらいいんでしょう」

「俺もこんなこと検討したことないから分からん」

「・・・」

そこから私の勉強が始まりました。敵対的M&Aに恐れている企業は何もテレビや新聞の中だけにいるわけではないのです。どのバイヤーも、担当しているサプライヤーが買収危機に見舞われないとも限りません。あるいは買収する側に回るかもしれません。バイヤーにとって、サプライヤー評価・企業価値の知識を使う機会は増えてくるはずです。実際、私も何度もこのような知識を使うことがありました。

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