4-(8)-1 調達リスクの管理<基礎知識>
バイヤーとして業務をこなしてゆく中で、必ず予期せぬトラブルに巻き込まれる経験をすることになります。突如あるサプライヤーから調達できなくなったり、法外な金額を請求されたりと様々です。
世の中は移り変わりますので、100%安全な取引先と製品などはありません。リスクをできるだけ小さくした上で、万が一起こった場合のトラブルをいかに最小限に抑えるかによってバイヤーの真価が問われます。
バイヤーが対面するリスクの代表例は次のようなものです。
① 為替リスク・調達国税率変動リスク
② 材料高騰リスク
③ 寡占サプライヤー集中調達による生産リスク
④ サプライヤー倒産リスク
①は、海外輸入製品のときに常に考慮せねばなりません。②は、特定材料の市況が高騰した際に値上げという形で噴出してきます。③は、1社集中によって災害や事故により供給がストップしてしまうことです。④は、解説も不要でしょう。
様々なリスクのうち、バイヤーが遭遇する確率では①→②→③→④です。②はサプライヤー選定に関わってくるため、6-(5)項で説明します。また、③に関してはサプライヤー戦略により、集中と分散を決定するものでこれも別項の6-(1)で説明しています。1社集中生産を選択すれば、サプライヤー内での分散生産か在庫対応か災害防止活動しかありません。④に関しては、企業評価の観点で、これまた別項5-(5)で説明しています。つまり、②③④は対サプライヤーのリスクであり、①のみがサプライヤー管理に関係なく、誰もが普遍的に影響を受けるリスクと言えます(為替や政治を左右させる力を持つ人物ではない限り、という意味です)。
ここでは、バイヤーが最も直面しやすく、さらに不可避な為替変動に対するリスク管理について述べてゆきます。