4-(6)-3 品質の管理「品質の向上を目指して」

品質管理に特別な知識は要らない、と言いました。しかし、感度は必要です。私の例で言えば「なぜ不良品が出るのか」→「それは作業者の定着が悪いからだ」→「なぜ作業者の定着が悪いのか」→「作業者の体調が悪化するからだ」…と繰り返し「なぜ」「なぜ」を問う感度が必要とされます。これは、現場に出向き自問自答してゆくしかありません。

書類や体制に頼るな、と言ったのは「作業標準書は揃っている。品質保証体制も構築されている。抜き取り検査も問題ない」とデータだけを信じてしまうと危険であることを強調したいからです。

もう二例私の経験を話すと、

・ 作業標準書が各工程に準備されているところがあり、工場関係者からも「作業者には次工程に不良品を流さない仕組みを作っている」と聞いた。しかし、作業者の3割は外国人労働者で日本語が読めなかった。もちろん、作業標準書は日本語だけで記載されていた。

・ サンプル品をサプライヤーに注文し、検査したところ問題がなかった。しかし、わざと市場に流れている量産品を購入し検査したところ別の工場が作ったのではないか、と思わせるくらい品質レベルの低いものだった。聞いたところ、サンプル品は別管理を行い、高い水準で特別に生産されたものだった。

などということがありました。

バイヤーの品質管理というと、毎月不良品の発生状況をグラフ化して配布するという方法を紹介されることがあります。当然、そのような活動は絶対に必要です。営業マンやサプライヤーのトップに品質改善申し入れることは大変効果があります。

その一方で、現場に出向き、自分の目で見て感じてサプライヤーの品質を向上させてゆくことも大切です。品質の悪いサプライヤーは長期的に必ずコスト優位性がなくなるのは間違いありません。品質の良くなったサプライヤーは長期的に必ずコスト優位性を持つことになります。

品質に関することは自分の業務外、と割り切らずに取り組むことです。

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