6-10 交渉しないバイヤーを目指せ ~変貌する交渉
ポイント
1.交渉の必要性と役割の見直し:調達・購買部門における「交渉」の本来の役割を再評価し、必要性を見極めます。
2.事前準備の重要性:見積依頼段階での条件設定やサプライヤー評価の徹底により、交渉の必要性を最小化します。
3.交渉の適切な活用法:交渉が必要な場合とそうでない場合の見極めを行い、効果的な交渉を実施します。
調達・購買部門で働くバイヤーは社内から、交渉巧者=ネゴシエーターとして見られています。しかし、常に「交渉ありき」の業務プロセスは効率的でしょうか。「交渉するのは当たり前」ではない交渉のあるべき姿を明らかにします。
●「交渉」とは何か
交渉とは、「バイヤーが、バイヤー企業とサプライヤーの間に存在する問題を、自社にとって有利な結論を導くために、話し合いによって解決を図ること」です。調達・購買部門は購入に際して、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)に代表される購入条件を決定します。その過程でサプライヤーと様々な条件について交渉が必要となることが多いです。双方の希望条件に隔たりがある場合、「交渉」して合意点を見出す努力が求められます。
●調達・購買部門に「交渉」は必要か
例えば、「サプライヤー評価を行い、活用できるリソースを十分に掌握する」「社内に購入条件の明確化を求め、必要に応じて調達・購買部門がサポートする」「十分な発注仕様検討期間を設け、サプライヤーリソースを最大限活用する最適発注の実現」を目指すには、交渉のタイミングが従来と異なります。
従来、サプライヤーから見積書を受け取った後に交渉して条件を引き出していましたが、見積提出の前に条件を設定し、あらかじめ最適な条件で見積依頼を行うべきです。サプライヤーの能力を深く理解し、生産リソースに合致した見積依頼を行った結果、交渉そのものが不要となることもあります。双方が合意できる条件設定を見積依頼の段階から目指し、交渉を行わずに発注条件の合意を図るのが理想です。
●「交渉」の正しい活用法
交渉に時間を割いてきたバイヤーには、いきなり交渉をなくすのは難しいかもしれません。事前確認を十分に行っても、条件の隔たりが顕在化して、交渉が必要となる場合もあります。
しかし、見積の内容に関わらず何もかも交渉するのではなく、交渉すべきかどうかの見極めが必要です。品質や納期にトラブルが発生した場合、迅速な問題解決をサプライヤーから引き出すための交渉が重要です。バイヤー企業も社内調整を行い、必要なときに適切な交渉を行うことが求められます。
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