4-10 QCDバランスと選定プロセスの最適化
●ポイント
・総合的な判断: サプライヤー選定には、単価だけではなく、品質(Q)、コストパフォーマンス(C)、納期(D)の全てを考慮した総合的な評価が必要です。
・積極的な検証: 提出された見積もりが購入条件をどの程度満たしているかを確認し、価格交渉にも積極的に取り組みます。
・説明責任の履行: 選定理由は明確にし、適合性と妥当性を根拠にして、内部関係者に対して責任を持って説明します。
購入条件が固まったら、調達・購買部門は適切なサプライヤーを選び出す責務を負います。単に価格だけを見るのではなく、QCDの各要素をバランスよく評価し、最も条件に適したサプライヤーを選定する必要があります。
●サプライヤー選定のプロセス
・見積もりの詳細確認: 提案された見積もりが、購入条件にどれだけ適合しているかを徹底的に検証します。特に、条件設定が難しかった場合は、見積もり内容の実現可能性を確かめます。
・価格交渉: 複数のサプライヤーから同等の条件で提案があった場合、さらなる価格交渉を行い、より有利な条件を引き出す試みが重要です。
・能力と適合性の検証: 最終的には、サプライヤーの能力と提案内容が購入条件にどれだけ適合しているかを基に選定します。この段階で最も譲歩を引き出せるチャンスです。
●QCDのバランスの重要性
サプライヤー選定では、価格だけでなく品質と納期のバランスを考慮します。例えば、極端に安い価格の見積もりが提出された場合、その理由を深堀りし、品質や納期で問題がないかを検証します。安価な提案が必ずしも最良の選択とは限らず、全体のバランスを見て、場合によってはコストが高めのサプライヤーを選ぶこともあります。
●説明責任
サプライヤーを選定した後は、その理由を明確にし、内部関係者に対して選定プロセスの透明性を保証することが求められます。品質、納期、価格の各点で選定サプライヤーが他の候補と比べて最適である理由を示すことで、調達・購買部門の判断の妥当性を内部関係者に納得してもらう必要があります。
●具体例
ある企業が新しいコンピュータシステムの導入を検討していた際、複数のITサプライヤーから提案を受けました。価格、品質、導入までの時間を総合的に評価し、最終的には中価格帯だが、カスタマイズの柔軟性と迅速な導入が可能なサプライヤーを選定しました。この選定プロセスでは、内部での説明会を開催し、選定根拠と期待される効果を明確に共有しました。これにより、購入部門の意思決定プロセスの透明性が高まり、関連部門からの信頼を得ることができました。
サプライヤー選定は、単なる価格比較ではなく、QCDのバランスを考慮した総合的な判断が求められます。調達・購買部門は、このプロセスを通じて企業に最大の価値をもたらすサプライヤーとの関係を築くことができます。