7-5 調達購買が主導するコスト削減~標準化の重要性

●ポイント
1.標準化がコスト削減に与える影響を理解する。
2.製品および作業内容の標準化の手順を学ぶ。
3.標準化がコスト削減手法にどのように展開されるかを把握する。

●調達購買が主導するコスト削減~標準化
「標準化」は、購入品に限らず、作業内容や手順に至るまであらゆるコスト要因に適用可能であり、調達購買部門でも多岐にわたるコスト削減手法に展開可能です。標準化はコスト面だけでなく、品質や納期にも好影響を及ぼします。

●製品への取り組み
「標準化」とは、製品品種の多様性を減らし、共通化・簡素化して生産性の向上を図る取り組みです。製品への標準化を行う際には、次の手順で進めます。

(1)類似品のリスト化
同じ種類や機能を持つ部品で、形状や寸法の異なるものをリスト化します。

(2)相違点の確認
寸法や材質などの相違点を、マトリックス形式の表で一覧化します。

(3)標準化案の策定
関連部門と共同で、集約化(標準化)を検討します。調達購買部門は、集約後のコストメリットを事前にサプライヤーに確認します。

(4)標準化定着への準備
標準化が完了した後は、対象製品を一覧化した資料を関連部門に配布し、種類を増やさないように申し入れます。また、類似品の発注依頼があった場合は、必要性と代替可能性を確認します。

●作業内容への取り組み
作業内容の「標準化」は製造現場だけでなく、調達購買部門の業務プロセスにも適用されます。調達購買部門の業務プロセスを標準化し、効率的な実行プロセスを構築することでミスを撲滅し、最短時間での業務処理完了を目指します。サプライヤーへの注文書発行プロセスや、コストの分析手法など、調達購買部門の誰もが行う業務は、属人的な作業を排し、標準的な実行方法を設定します。

●コストダウン手法への展開
集中購買や共同購買といったコスト削減手法も、標準化の進展度合いによって成果が大きく異なります。これらの手法を効果的に実行するためには、標準化の手法を用いた共通化が不可欠です。標準化を進めることで、購入時のスケールメリット(規模の経済)の効果を活用できます。

標準化を進める際の最大の障害は、多品種化に相応の根拠が存在する現実です。しかし、顧客の細かいニーズに対応する多品種化は、販売時にだけ実現すれば良いのです。できる限り標準化を進め、かつ顧客ニーズに応える取り組みが求められます。これは困難な作業ですが、その効果は大きく、実行価値の高い取り組みです。

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