2-(6)-1 調達・購買力はどのようにして発揮するのか<背景・基礎知識>
調達・購買部門の目的は、高いレベルのQCDを自社に提供することを通じて企業価値を最大化することだと説明しました。とするならば、調達・購買力はQCD向上のために使われなければなりません。
調達・購買力のある企業にはサプライヤーが集まってくるはずです。バイヤーはこの状況で、次のことを徹底することにより影響力を発揮します。
(1) 競合の構造作りと結果の尊重・・・可能な限り競合の体制を構築し、競り勝ったサプライヤーに注文することを徹底。サプライヤーに対して緊張感を与え、コスト競争力のアップを促します。
(2) ペナルティー制度・・・納期遅れ、見積り辞退、品質不具合を生じた場合は、しばらく競合に参加させないなどの処置をとります。調達・購買部門だけではなく、関係部門が一丸となった厳粛な処置でなければいけません。
(3) コスト低減の実績の次期へのフィードバック・・・毎期のコスト低減率が目標値に達していれば次期以降には優遇し、目標以下であれば戦略サプライヤーから外します。
別章で詳しく説明していますが、これらは特別なことではなく、当然のことを徹底するということです。
また、サプライヤーにこちらの存在を認めさせる、もっと言えば「下手なことをすると何が起こるかわからない」と思わせることが大切でしょう。別に脅迫を勧めているわけではありません。「何をやっても許される」と思わせることは最も避けねばならない、と言いたいだけです。それはバイヤーも同じで、「何をやっても許される」と思ってしまえば、言動は暴走してしまうでしょう。
必要なのは適度な緊張感と相互尊敬の下で取引を進めることです。当然のことを徹底していれば自然と力は発揮できます。