バカは知らない、コスト削減の歴史的根拠(坂口孝則)

調達・購買業務の業務でもっとも大きな仕事は、コスト削減です。これになかなか反論できるひとはいないでしょう。

ところで、コスト削減は製造業の必定だという話をします。たとえば、1950年には缶ビールはスズメッキで73グラムでした。それが1973年にはアルミになり21グラムに激変しました。さらに、いまは13グラムです。

このように創意工夫が資源の使用量減をもたらし、エコロジーにも貢献しています。「このていどだろう」と諦めないことが、社会貢献になるのです。私は自動車メーカーで働いていました。設計者は担当部品を500グラム減らすために半年を費やします。しかも必死に、徹底的にやって、ですよ。

ところで、よく「コスト削減目標2%」とかっていう目標がありますよね。これって根拠はなんでしょうか? 単純にいうと、自社製品が値下がりするから、調達品も値下げせねばならないのです。あたりまえのことを交渉で伝えねばなりません。

たとえば、この140年で一般的なモノの価値は、毎年1%ずつ下がっています。だから、調達品が原価の半分だとすると、調達品は2%のコスト削減をせねばなりません。簡単ですよね。もし原価のうち、調達品比率がもっと低ければ、さらにコスト削減をするべきだ、というわけです。

毎年1%ずつ下がると、タダになるじゃないか! そのとおり、実際に、タダに近づいています。私もそれほど何十年も昔を知りませんが、半導体などは、果てしなく安価になっています。

だから、よく「調達部門がコストを下げても、営業部門がもっと下げるからむなしい」と言うひとがいます。違うのです。営業部門も頑張っている。それ以上のコスト削減を達成せねば、調達の価値はありません。しかも、それは歴史的必然なのです。

もしよかったら、自社製品の値下がりを、調達品コストの交渉に使ってみませんか?

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