「ちゃん」付けされると課長で、正しさを語れると部長になる(坂口孝則)

私の仮説ですが、日本では「ちゃん」づけされるひとしか人気者にはなりません。芸能人でも思い出してください。水トちゃん、カトちゃんケンちゃん、さんちゃん、愛ちゃん、なんでもいいのですが、「ちゃん」づけが愛されキャラの条件です。ですから、あなたが職場で「ちゃん」づけされていなければ、きっと人気者ではないでしょう(笑)。

これまた仮説です。たぶん、この「ちゃん」づけされるひとというのは、どうしても見守りたくなる存在です。めちゃくちゃな天才は、やはり「ちゃん」づけはされません。上から目線というか、男女に関係なく微笑ましく見えるひとが、「ちゃん」付けの資格を有しています。そういえば、ドラマの「あまちゃん」も、少女を見守ってあげるドラマでしたね。

そこで、いろいろな組織人を観察しますと、この「ちゃん」付けされるひとは課長。そして部長まで行くひとは、違う要件を備えているように思います。

それは「正しい」ことを語れる力です。それが、もし間違っているとしても。現在は複雑系の世の中ですから、ほんとうの正しさなど存在しません。でも、断言できるほど、「これが正しいと思います」と思想をもっていることが逆説的に大事なのです。

これまで触れ合った部長の方々は、間違っているかは別として、自分の考えを語れるひとでした。「正しさ」です。その正しさは、鼓舞と同義です。いまからは、もはや、ほんとうの意味での真偽や正誤や善悪は、部下を動かす要因とはなりえません。人を動かすのは、「このひとを信じてみたい」という心の奮えであり、思い込みのようなものです。

では、ここから、真面目な話として、「正しさ」を語るテクニックをお話します。

会議で結論が出ずに混沌としているとしましょう。そんなときに、あなたがいうべきは「まず、そもそもの目的から考えると」とはじめて、最後は「こうすべきですよ」と断言することです。もちろん断言する自信はなくてもかまいません。結局、なんでもやってみないとわからないのですから、自信満々に話しましょう。迷ってはいけません。とにかく断言しましょう。

それで、細かなことが間違っていて指摘されたとしても、「それはわかりますが、ここでご理解いただきたいのは大きな方針と大枠での戦略です」といえばだいたい問題になりません。先進国の国民は、「みみっちいことをいう奴は、大きな戦略を語る人間以下だ」と思っていますからね。そして、正しさを語るためには、この相反する言葉を口癖にしておきましょう。

「本質は~」
「現実的には~」
「そんなの、誰も知っていますよ。重要なのは~」

たぶん、言い方しだいでは、単に嫌なやつになりますから、適度に笑いながらいってください。何より、正しいことを言っている、と周囲に思われることが(皮肉ではなく)重要なのです。

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