ビートたけしさんと調達業務について(坂口孝則)

アリtoキリギリスさん、という芸人さんがいます。私はけっこう好きで、コントも見ていました。ただ、もっと興味ぶかかったのは、ビートたけしさんとのエピソードです。アリtoキリギリスさんが、まだ売れる前に、食事をしていたら、その店にたまたまビートたけしさんが仲間を連れて入ってきたといいます。

あちらはもちろん大先輩かつ大御所ですから、アリtoキリギリスさんも驚きつつも、ちゃんとご挨拶をして自己紹介をしたようです。ただ、たけしさんは、軽く応えただけだったようでした。その後、別々の席で食事をしていた二組でしたが、たけしさんのグループのほうが早く店を出たようです。アリtoキリギリスさんも、じゃあお会計をしようか、と思ったら、なんと「もうお代はもらいました」と店員がいいます。

たけしさんが払ってくれていたのでした。そこですぐさま走ってたけしさんのあとを追い、お礼をなんとか伝えたようです。すると、たけしさんが一言。「売れたら(俺を)使ってね」。それで颯爽と、また消えていったのでした。いやあ、かっこいい。お金があるからできるわけではありません。お金があっても、こういうことしないひとはたくさんいます。

私は、よくこのエピソードを思い出します。かっこいい、とはなんだろうと考えるためです。加齢だけして、まわりからの信頼もなく、虚構の世界だけで他者とつながっているひとがいます。もちろん、それはそれでそのひとの人生だとしかいえません。いっぽうで、加齢とともに、スキルや知識だけではなく、魅力的な人間になっていくひともいます。

以前、大学生の多数が「大人になりたくない」と答えているアンケートに落胆している大学教授のエッセイを読みました。いや、いまは社会人であってすらそうではないでしょうか。若い調達の方を見ると、大半はきわめて有望なひとですが、いっぽうで少なからぬ方は「おいおい、このまま加齢だけしたら、どうなっちゃうんだろう」という感じもします。これは性別に関係ありません。これは自問でもあります。30代から40代になって、そして50代になる際に、「果たして自分はかっこいい大人になっているだろうか」と考えています。

どうすればなれるでしょうか。わかりません。しかし、考えるに「かっこいい」とは、組織の魅力を超えていることです。調達組織の平均をはるかに超えた、そのひとの魅力がなければ「かっこいい」にはなりません。私は運良く、何人かのかっこいい大人に出会ってきました。そこから、何点かの共通点を探ってみます。

・昔話をしない
・サプライヤの前で偉そうにしない
・勉強している
・仕事への熱意がある
・自分の考えがあるくせに、話を聞いてくれる
・若い人には寛容である
・いろんな意味で太っ腹
・誰にでも直接、厳しいことがいえる
・歩くのが速い
・恐妻家である

それと、ここまで書いて思いましたが、最後の項目は無関係かもしれません。また逆に「男に嫉妬する」かっこいいひとはいないように思いますね。それで、「いまの組織には、かっこいい先輩がいない」という方へ。もし、あなたが、人を見る目のない馬鹿者である可能性を排除すれば、あなたは組織の成長度を超えてしまったかもしれません。

それにしても、ビートたけしさんのようなかっこいい大人になりたいと私は思います(わっ嫉妬している)。

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