働きたくないなら休んだほうが体のため(坂口孝則)
とくに今回は、若手から中堅までの方々にむけて書きます。なぜ「うわあ、会社に行きたくねえなあ」と思うのでしょうか。仕事がつまらないからです。面白くないからです。そして、上司や同僚が嫌だからです。確実にいえますが、周囲と仲が良くて、人間関係が最高ならば、そもそもその場に行きたいはずです。
人類は20万年前から地球上に暮らしています。言語を使うようになったのは10万年ほど前です。書き言葉は5000年前です。しかし、会社の歴史は200年ちょっとしかありません。表計算ソフトにいたっては50年も経っていません。
あなたはたったこれだけの歴史しかないものに、なぜがんじがらめになっているでしょうか。私は若いころに、上記のコメントを聞いて、なぜか気が楽になった記憶があります。そこで共有しました。たったこのていどの年数しか経っていないのに、既存の世界だけがすべてだと思ってしまうと、とたんに苦しくなります。
ちょっと次の発言を読んでください。
「ことしはいってきた人たちを見ていますと、なにか、さとり切ったような人が多いんですよ。……未完成で荒けずり、失敗もするかもしれないが、なにかやってくれるのではないだろうか、というような楽しめる人間というのが少なくなりましたね」
あら、今年の新人にたいする発言と思ったあなた。違います。これは、1972年「サンデー毎日」に掲載されたものです。昔から、会社の先輩っていうのはテキトーなもんだったんですねえ。組織人たちの人間観というのは、よくも悪くも、このていどのものです。だから、悪い評判からは逃げるに限ります。逃げ切れなかったら、せめて、近寄らない工夫をしましょう。
本気で働きたくないなら、まずは休むことが重要です。そして、休んで冷静になって、「あの上司や組織を超越している人間だ」と思い込むようにしてください。これは、上司や組織をバカにしろ、という意味ではありませんよ。また、組織を辞めろという意味でもありません。心を休めて、自信を取り戻す、という当然のことを申しているにすぎません。組織に必要なのは、能力だけではありません。現代では、機嫌のいい人こそ必要です。
そして、もう一点。私のまわりで成功しているひとは、自信家が多いんですよ。これは「自信家は多くのひとを魅了する」とかいわれますが、そういうのが本質じゃないんです。自信をもっているほうが、試行錯誤できる意味で重要なんです。仕事で、誰かに提案したり、新しい試みをしたりするとき、失敗するとします。自信がないと、「あ、だからダメだ」と思ってしまいます。しかし、自信をもっていれば、たまたま失敗したけど、自分が上手くやれるのは間違いないから、手法をかえてやってみようと思えるんです。
もっといえば、この自信は仕事を上手くやるには必須です。そして、その自信がつくまで休め、とあえていっておきたいのです。