調達の現状がデタラメで、私は我慢できない(坂口孝則)

私は、以前、日焼け止めクリームの原材料調達支援を行っていました。そこで、いきなりですが、みなさんにクイズです。「男女問わず、日焼け止めクリームの需要が伸びている意外な理由を述べてください」。

たとえば、「環境問題で、気温が上昇している」と答えたあなた、残念ながら、不正解です。「日焼けにたいする関心が高まった」と答えたあなた、たしかにそうですが、ここでは不正解とさせてください。答えは、「スマホの利用があがったから」です。というのは、スマホから、ブルーライトを受ける意味ではありません。日中に、太陽の光が、スマホを照らして、そのスマホ画面から反射して、あなたの顔に日光が届くのです。

これまで、「ながら」スマホは、視力に悪いとか、交通安全に悪影響を及ぼすなど報じられました。しかし、実に、もっともヤバイのは、日焼けなのです。日焼けは皮膚がんを誘発するどころか、シミなどさまざまな影響を及ぼします。日焼けの原因がスマホとは、ほんとうに思い込みでは想像もつきません。

ところで、話が変わるようで変わりません。

先日、外国人の方から面白いことを聞きました。「日本人は、面倒なことが嫌いです」と。通常の理解では逆ではないでしょうか。だって、カイゼンとか、QCサークルとか、面倒なことに取り組んできた国民性だからです。しかし、それでも「日本人は、面倒なことが嫌いです」と譲りません。なぜでしょうか。

彼いわく「日本人は、根源的に変えるのはすべて拒絶します。面倒だからです。それよりも、いまやっている業務を少しカイゼンするのであれば、面倒でも、好んでやります」とのことでした。私は、ちょっと驚きました。たしかにそうだからです。

日本人がやりたいのは小手先の改革なのです。彼は続けます。「調達・購買部門のひとは、とくにそうですね」と。何をやろうとしても、「できません」「無理です」としかいわないらしい。日本における調達のプロとは、「できない理由をすべて知っているひと」だそうです。ちょっと笑ってしまいました。でも、ほんとうにそうで
すよね。

なぜそうなのでしょうか。それは、幸福な時代がずっと続いてきたからです。言葉を変えれば右肩上がりの調達業務が続いてきたからです。売上はあがる。だから、調達の仕事は、納期を調整して、なんとか納品してもらえばいい。あとは、量が増えるので、それを前提にコスト削減交渉するだけ。だからそれ以上の業務はできない。

目の前の細かな業務を変えることはやっても、根本から変えることはやらないのです。ダラダラと会議をするだけ。ところでそもそも会議って必要なんでしょうか。どなたかが「これをやりたい。責任は私が取るから協力してほしい」といったら、それで終わりのはずです。

私はよく「この場で決めてください」といいますが、「いや……。持ち帰って検討します」とよくいわれます。興味深いのは、そういう管理職にかぎって部下に「自立と自由な発想を」とおっしゃっています。社長と役員の言いなりになっているだけの管理職が「自立と自由な発想を」と叫んでいるのを聞いて、部下はどう思っているでしょうか。

ほんとうに部門の改革を進めたいのであれば、クビになってもいいくらいの勇気をもって、やるしかないのではないでしょうか。それが外国人から「面倒なことは嫌いだ」とバカにされない処方箋のように私は思うのです。

日本人は、面倒なことに取り組み、改善を推進していくという「思い込み」があります。しかし、それはデタラメで、実際には日本人は「なんとしても変えたくない」強固な信仰の持ち主です。しかし、だから、意図的に行動レベルで変えていかないと、おなじことを繰り返します。

みなさん、とにかく、なんでもいいから日々の行動を変えてみませんか。

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