ビル・ゲイツが激怒した話がメチャクチャ面白い(坂口孝則)
私が大好きな、そして人生に影響を受けた話を書きます。
ビル・ゲイツがマイクロソフトで現役の経営者だったときの話です。ビル・ゲイツ(以下、ビル)は、マイクロソフトのイベントで、登壇してくれた識者に花束を渡すことにしていました。もちろん、ビルは部下に花束を渡すように伝えました。
その当日、異常なほどの積雪でした。担当者は花束を発注していたのですが、その積雪で業者は配達できなくなってしまったようです。さらに、代替の花屋に連絡をしても、積雪のために引き受けてくれません。そこで部下は正直に、ビルに花束を渡せなくなったと伝えました。この積雪では、どこも配達してくれない、と。
するとビルは、異常なほど激怒したようです。それは常軌を逸したほどでした。周りから見ても、その怒りは通常のビルとは思えないほどだったのです。
しかしビルについて述べた本には、いくつか類似のエピソードが出ています。なぜ怒る必要があるか。それは部下に「花束を配達してもらえ」という指示ではなく、「花束を渡せ」という指示だったからです。「花束を渡す」というんはゴール。「花束を配達してもらう」のは部下が考えた手段にすぎません。
自分が設定した手段が難しかった、というのは言い訳にすらならない。あくまで自分が依頼したのは「花束を渡す」である。これを聞いたとき、私は衝撃を受けました。
もちろんビルのように、激怒する上司はさほどいないでしょう。むしろ言ってくれるだけ優しいとすら私は思います。普通なら、心のなかで「うわー使えない部下だな」と思っておしまいです。
ドリルを買いに来た人が欲しているのは、ドリルではなく穴です。
いまではハラスメントになるので、当時のビルほど激怒するのは、もはやご法度かもしれません。それにこの文章を読む人の世代にもよるでしょうね。きっと人によっては「なら、どうやって花束を調達すべきか教えろ」と思う人もいるでしょう。私もパワハラと思われるかもね。
しかし、私はここから重大なメッセージを読み取ります。やはり、何が求められているかを想像することです。
もう一つ、ビルの好きな話を。ビルは日本に来日中に「起業家セミナー」に登壇を求められました。すると、ビルは「起業して成功する人が、こんなところで話を聞きに来るはずはない」と楽屋で爆笑していたようです。「ここで成功の秘密が聞けるなんてありえない」と。知識は本で得られるし、行動するしかないからです。
失礼ながら私もこのエピソードに笑ってしまいました。
目的を考えろ。手段が上手く行かなかったというのは言い訳にしかならない。そして頭を使え。何よりも行動することだ。ああ、当たり前のことばかりなのに、いろんな人に聞かせたい言葉です。