いまこそ聴くべき、観るべきコンテンツ集(坂口孝則)

このところ音楽などを評論する仕事が増えました。ということで箸休めに2021年の私的ヒット作品(エンタメ)を紹介します。

【ドキュメンタリー映画編】

  • ジョン・デロリアン(Netflix):テスラより前、自動車産業にデロリアン社は斬新なデザインで闘いを挑んだ。同社は不祥事で失墜。既得権益が潰したのか自滅か。衝撃作だ。
  • 宇宙へのカウントダウン(Netflix):民間人の宇宙への旅を追った作品。訓練に次ぐ訓練。そして事故死を恐れる家族への説得と葛藤。そして宇宙でいかに人生が変わるか。ロシアと米国が宇宙を巡って有人飛行競争を繰り広げる中、一人ひとりの宇宙飛行士を描いた人間ドラマ。
  • 不自然淘汰(Netflix):2021年の作品ではないが紹介したい。圧倒的な傑作。米国におけるゲノム編集技術を追ったドキュメンタリー。ゲノム編集剤を身体に注入することで視力が回復し、筋肉が隆起する。在野の研究者がPC一台でゲノムを編集し自身へ投剤し試験を重ねている。もはや時代はYouTuberでない。YouGenomerの時代なのだ。

【音楽編】

  • Blood Ocean(THE ART OF MANKIND):日本のメロディックデスメタル界に突如として現れたバンド。捨て曲なし。これまでの歴史と日本の泣きメロの融合。いよいよ日本発が世界で闘える。
  • World At War(DEAD HEAT):メタルとファストコアとハードコアの見事な融合。バンドD.O.A.の現代的解釈。爽快、疾走感が最高。
  • THE MILLENNIUM PARADE(millennium parade):2021年は年末の紅白歌合戦を含め、このバンドのリーダーでありKing Gnuも率いる常田大希さんの才能が世間に「知られてしまった」年だった。このアルバムはレディオ・ヘッドやら古今東西の音楽を消化し、さらに日本音楽における嚆矢の琵琶法師すらも包含した異常なアルバム。必聴。両バンドでフジロックへの出演を果たした。私はKing Gnuの美しきバラッド「The Hole」でヤラれた。同性愛をモチーフにした楽曲でこのタイトル。常田さんは天才だ。
  • Gifted.(BE:FIRST):情報番組オーディション番組で生まれたグループ。多様な楽曲と世界に通じるダンスを武器とする。ポップス、ファンクやR&B、ヒップホップを飲み込み、三連符で人々を魅了する。
  • Leave The Gate Open(Ochunism):大阪の学生バンドからデビューしたファンクバンド。曲の良さに加え、カッティングとメロディーの妙は現代でもっとも注目できる。スティービー・ワンダーやサチモスの流れを汲みつつもオリジナルのレベルに昇華した無ジャンルバンド。

【書籍編】

  • 音楽が未来を連れてくる(榎本幹朗著):音楽は良くも悪くも常に他業界に優先し流行を先取りしてきた。カーラジオからYouTubeまでエンタメの雄の音楽は全産業のカナリアだ。業界で未来を走る商業音楽業界の歴史と莫大な情報と未来予想で読ませる一冊。
  • 怪獣8号(松本直也著):怪獣が社会に跋扈し駆除の対象となる世界。単純に怪獣退治のストーリーが最高。そして主人公の名前はカフカ。小説家カフカは不条理を描いた。大ヒットマンガ『鬼滅の刃』では悪である鬼にも鬼にいたる事情が読者を魅了した。現代は善と悪が曖昧な不条理を特徴とする。そんな時代にあって必然的なヒットだった。

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