シングルソース、独占サプライヤーの気持ちになって考えてみる

シングルソースサプライヤーや、独占サプライヤーに対応するときは、一度相手の立場になって考えて、自分の発言を吟味してみると、数少ないけど解決の方向性が浮き彫りになります。

 

「高い」

「この金額じゃ買えない」

「もっとコストダウンして」

 

シングルソースサプライヤーや、独占サプライヤーの営業パーソンは、こういったバイヤーの発言に対してどう思うのか。一言で表現すれば「いやです」になるでしょう。別にシングルソースサプライヤーの営業パーソンでなくても、少なくとも良い気持ちはしないはずです。では、その「イヤな」気持ちが、営業パーソンの行動にどのように反映されるでしょうか。

 

営業パーソンであれば誰もが、まず「売上確保」に取り組みます。同時に利益確保でしょう。営業パーソンが思いどおりに儲けられなかった、利益を確保できなかった場合の最大の要因はなんでしょうか。営業パーソンのミスがなければ、それは競合企業と繰り広げた競争の結果です。競合企業よりも優位性を示すポイントが価格だったのです。だからこそ、利益を犠牲にして、バイヤー企業のコストダウン要請に応じて購入価格の値引きをおこなったのです。

 

この「理由付け」のポイントは、営業パーソンの個人的なスキルや資質ではなく、競合企業との競争=自分の能力不足や落ち度ではないと声高らかに明言できる点です。そもそも売上がなければ利益も生まれないわけです。そして売り上げがあればこそ、社内に対しても「もっとコストダウンが必要だ」と言った発言力が生まれるのです。

 

一方、シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーの場合、競合企業との競争が存在しません。したがってバイヤー企業の求めに応じて販売価格を下げてしまうと、セールスパーソンの評価が悪化する可能性があります。シングルそうサプライヤーや独占サプライヤーの実態として、知財管理や生産管理、設計技術管理に、同業者よりも多くのコストを費やしている場合があります。そういったコストが自社の優位性の源泉になっている場合、売上も重要ですが、同じくらい利益率も重要です。利益率が確保できない場合、自社の優位性を失う結果にもなります。

 

バイヤー企業からすれば、サプライヤーがコストダウン活動を行うのは当然かもしれません。しかしそれはどんな企業でも基本的に自社の利益率の改善が第一目標であり、顧客へのメリットの提示は優先順位としては低くなるのが企業経営のセオリーです。この優先順位を下げるためには、何か 外部要因が必要になります。それが競合企業の存在であり、より多く売り上げを確保したい営業の本能なのです。シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーの場合は、そういった外部要因が存在しない分、営業パーソンに対する社内の利益確保のプレッシャーは非常に高いと言えるのです。

 

では、そういったシングルソースサプライヤー や独占サプライヤーに対し、どのように対応すればいいのでしょうか。まずバイヤーに必要なのは、今回述べたような営業パーソンの置かれた状況の理解です。バイヤー企業の調達購買担当者としての立場を理解してほしいのであれば、まず相手の立場を理解した上でどうすべきかを一緒に考える関係性が持てるかどうかが非常に重要なのです。

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