シングルソースが調達・購買部門を悩ませる理由

シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーは、一般的にバイヤー企業よりも売る力が強い傾向があります。したがって、多くのバイヤー企業では、なかなか自分たちの意向を相手に聞き入れてもらえずに苦難に満ちたサプライヤー対応を強いられます。

「シングルソースサプライヤーとは」のでも書きましたが、複数のサプライヤーから発注先を選ばれる可能性がないため、サプライヤーには基本的に「譲歩する」選択肢をもっていません。言い方こそ違いがあるかもしれませんが、基本的に受け入れられないバイヤー企業からの要求は拒否する、もしくは相応の見積金額の上乗せを持って対応するかのどちらかになります。対応しないか値上げかといったバイヤーには非常に厳しい二者択一を迫られる、これがシングルソースサプライヤーや独占サプライヤーが、調達・購買部門を悩ませる理由です。

ここでもっと深刻な事例をご紹介します。サプライヤーがバイヤー企業の要求を聞き入れない場合、担当バイヤーがサプライヤーに対して悪い印象を前提として対応し、事態をより悪化させるといったケースが非常に多く見受けられます。実際にセミナーのご質問で、シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーに対する対処方法の内容でも、サプライヤーから「もう買っていただかなくて結構です」といったセリフをサプライヤーから言われ、困り切っているバイヤーが非常に多いのです。サプライヤーの営業パーソンにそこまで言わせてしまえば、交渉打ち切りの最後通告の意味合いを持ちます。

一方で、バイヤーは「買わない」選択肢をもちません。これが個人の買い物と最も異なる点です。最近の買い物を思い出してください。「ここでしか買えない」状況は、実はそんなに多くないはずです。もちろん、個人の買い物でも「ここからしか買えない」ものは存在します。しかし、個人の買い物の場合は「買わずに我慢する」「別のもので代用する」といった選択肢を持っています。この違いは非常に大きいのです。

シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーの対応で、サプライヤーの営業パーソンに絶対に言わせてはいけない言葉が「もう買っていただかなくて結構です」なのです。この言葉を使わざるを得ないような状況に追い込んでしまえば、より大きな問題として対応を強いられるのはバイヤーです。

したがって、シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーへの対処は、他の同じカテゴリーに複数のサプライヤーが存在するケースとは、実は全く異なる対応が必要なのです。多くのバイヤーが、複数のサプライヤーの選択肢を持つモノやサービスと同じようにサプライヤーと対処してしまうために、シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーの問題が大きくなり、最終的に厳しい対応を強いられてしまうのです。

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