シングルソースサプライヤーとは
シングルソースサプライヤーは、独占供給企業や独占サプライヤーとも呼ばれ、調達・購買部門のバイヤーにとっては、非常に悩ましい存在です。 なぜ、そうなるのか。悩ましい理由は次の3点に集約されます。
一つ目は、バイヤーがサプライヤーを自由に選べない点です。複数のサプライヤーから自社の要求にかなった最も優位性のあるサプライヤーを選ぶのではなく、この会社からしか買えない場合、バイヤー企業の都合をサプライヤーに聞き入れてもらうのではなく、サプライヤーの都合に合わせてバイヤー企業が調整を行う場面が増加します。
二つ目は、バイヤー企業の希望がなかなか聞き入れられない点です。他の企業からは買えないものや機能を持った製品の場合、そもそも優位性うんぬんを求めることができず、サプライヤーの言いなりになる可能性が高まります。これは購入品の仕様やレシピといった問題だけではなく、納入条件についてもサプライヤーの意向を飲まざるを得なくなります。最も顕著な例としては、最小購入単位でしょう。バイヤー企業はできるだけ細いロットでの納入をサプライヤーに求めますが、サプライヤーは自社の生産都合に合わせたロット数を設定しています 。こういった交渉でもバイヤーは劣勢に立たされます。
三つ目は、調達購買部門のバイヤーの最も大きな弱みである「買わなければならない」と言った足元を見られる可能性が格段に高まる点です。これは、バイヤー企業から行った要求内容に対する反応としても足元を見られますし、サプライヤーの要求を受け入れたとしても、 シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーの企業戦略や販売方針によって足元を見られてしまう可能性が高くなります。足元を見られた場合、マーケットにおけるサプライヤーの優位性をいくら主張しても、調達購買部門の至らない対応と社内で評価される結果につながってしまうのです。
こういった問題点に直面しているバイヤーは、自分の意向が相手に聞き入れられません。日本にはそもそも「お客さまは神様」と言った誤ったバイヤー企業とサプライヤーの関係性の前提条件があるため、バイヤーはそもそもサプライヤーとの力関係や自らの立場を全く無視するような要求を、誰かれかまわずサプライヤーに行ってしまうケースもあります。こういったサプライヤーとの誤った前提条件も、シングルソースサプライヤーや独占サプライヤーへの対応を難しくする要因になっているのです。