帰ってきた池田史子の参謀日記46
いま未来調達研究所でアシスタントというか、サポートというか、さまざまな仕事をしています。
坂口さんは、よく作成中の資料を消します。気に入らない、というのが理由です。何時間かけて作ったものも消します。しかも、ほとんど躊躇なく消します。面白くないとか、これは、お客に出すべきではない、といっています。おそらく、お客さんに提出しても問題ないと思いますが、自分自身が気に入らないのです。
しかも、やっと完成したものも、消した資料とどう違うのかがあまり私にはわかりません。
私にも資料作成の指示があります。そのとき、ものすごく早口で話すのです。質問すると、これまた早口で返してくれます。丁寧なのですが、矢継ぎ早です。そうなると、何日間かかけて作った資料を見せると、ただちに「こりゃダメだな」といわれます。「どこが」と聞くと、「あそことあそこ、理由は論理的に……」と指摘があり、最後には「つまり、作り直したほうが早いな」といわれます。
それでふたたび作ると、次は「うーん、もっといいのを思いついた」といわれる場合があります。それで「これ、やはりもう一回、作ろう」といわれると、泣きそうになります。「これでいいんじゃないですか」と聞くと、「なんで、もっといいの作れるじゃん」といわれます。
たぶん、一緒に働ける人はほとんどいないと思います。牧野先生は珍しい例外で、その他の男性は去っていきました。
坂口さんが講演するのを見て、自由奔放に話していると思うでしょうが、本人は終わったあと、ずっと気にしていて「今日は、こういうところをこうすべきだった」と常に反省しています。いままで「今回は上手く話せた」と聞いたことがありません。
もう2018年の仕事まで入ってきているのに、会うたびに「次は、こういうこと考えたんだけど、どうかな」というので「もう、いまでも仕事はじゅうぶんにあるじゃないですか」と返すと「現状で満足するなら死んだほうがましだ。お前も死ぬ気でやれ。死なないから」などと理不尽に怒られました。
以前も書きましたが、私は病人と思って接しています。