7-(3)-1 調達・購買2.0へ
・寂しい時代・製造業・バイヤー
朝起きれば、テレビから次々に流される新商品のコマーシャル。インターネットにアクセスしてみれば、一人一人の嗜好を見透かしたパーソナライズド広告の波。帰宅すれば、ダイレクトメールの山。モノを買いたいと思えば、以前は何百万円もした機能のコンピュータが数万円で買える。かつてなら月々数十万円が必要だったところ、わずか数千円で世界中の情報が一手に集まってしまう。
それなのに、なぜだか満たされない思い。何もかもが簡単に手に入り、それでいてなぜか虚無感が支配している時代。以前を思い出せば格段に生活の便利さが向上し、刺激的なことに触れる機会も増えてきた。しかしそれでもなお、なぜか残る孤独感、疎外感。月曜から金曜までは「早く週末が来ないかな」と言ったかと思えば、土日には「やることがなくて退屈だ」と矛盾も感じずに思えてしまう。
何もかもがあって、何もかもがない時代。
これまでなら、「自分しか持っていないモノや情報」さえあれば、自己のアイデンティティを確立できました。しかし、もはやカネで買えるものは他者との差異化記号としてはもはや成り立ちません。
そう、私たちは「寂しい時代」そして「退屈な時代」に生きています。