必ず10%コスト削減する方法
なぜポップスやロックが一曲4分半くらいか、というと、それは録音技術がかつて4分半だったからです。そこでアーティストは曲を短くして、サビやAメロ、Bメロという表現「形式」を創り上げました。そのように制約が創造を生むケースがあります。また逆にいえば制約ゆえの結果だったということができます。
必ず10%コスト削減する、というコンサルティング会社があります。社長と話しました。どういう手法だと思いますか? 答えは単純です。「ひたすら、既存サプライヤに安くしてくれ、と再見積りを依頼する」。それだけかよ、と思いました。しかし、それだけなのですよ。ただ、その社長いわく、コスト削減は、人員数が制約になっているようです。だから、ほんとうはサプライヤにいえば安くなるのに、活動ができていない。だからやれば10%は下がる、と。
なるほどな、と思いました。
このコンサルティング会社がやっていることは、グレーです。だって、クライアントの代わりに見積書を入手しているから。弁護士法にひっかかるか微妙です。しかし、話の趣旨はそこにはありません。人員がネックになっているだけかもしれないケースが多々あると思うのです。100円の製品を95円にしてくれ、というだけでいいのに言っていない。
昔、こんなことがありました。日本の調達組織をなくし、中国のアウトソーシング企業に調達業務を委託するという話がありました。もちろん、日本の人員は反対。「中国の企業に調達なんてできるはずはない」と。しかし、とりあえず移管しました。そこで実際に、中国の企業がやったのは、見積書を片手に、ただただ日本のサプライヤに電話をするだけでした。「安くしてくれ」と。
するとどうなったでしょう? 日本人がやっていたときは、年間平均2%の調達額を削減してました。それが、中国に移管したら1.9%だったそうです。たしかに中国は0.1%負けています。しかし、どう解釈すべきでしょうか(笑)。普通に考えると、中国に移管して正解だと考えるべきではないか。日本人もその程度の仕事しかしていなかったといえますし、あるいは、やはり人員をかければ安くなるんだという見方もできるでしょう。
言葉を替えます。ならば、調達・購買担当者がそのままであっても、「しつこさ」と「執念」をもっていれば、成果は出ることになります。なぜならば、この話に一切のスキルや能力は出てこないからです。たんに時間を費やしたか否かでしかありません。
これは決して長時間労働のススメではありません。しかし、それでもなお、結果を見るときに、それを導いた要因をクールに眺めることは必要でしょう。そうすると、意外に単純に現状の打破手法が見えてくるに違いありません。