池田史子の参謀日記その18
これまでいえなかったことがあります。
私は未来調達研究所でさまざまな仕事をする前に、某外資系メーカーで働いていました。その某社では調達部門で働いていました。しかし、残念ながら、業績が悪化し、リストラがはじまりました。簡単にいうと、クビにできるひとを探し始めたのです。
狙いに定まったのが私でした。リストラが発表された翌日に会社に行くと、机の書類がなくなっていました。上司にきくと「忙しそうだったから、引き上げた」といわれました。そして、いつも昼食を一緒にとっていたのに、その日以来、忙しいからとご一緒できませんでした。
すると、さらに数日後に「おそらく、あなたは鬱状態で、働ける状態にないと思う」といわれ、突然、心療内科に行くことを勧められました。問題ありません、というと、「それは業務の遂行を放棄したと認識してよいですか」
といわれました。しかたなく、指定された心療内科に行きました。
誰だって「どこかおかしいところはないか」と医者から訊かれると、すこしは不調なところがあります。私自身は普通だったはずなのですが、いつのまにか、私は病気で、薬を処方すべきだといわれました。私は、なぜかここで、鬱状態にあると認定されました。
その診断書をもってこいと会社にいわれたので、上司に渡しました。そのときの顔は一生、忘れることはありません。上司はそれを見て、少し笑ったのです。すぐに真面目な顔に戻りましたが、その悔しさを忘れることはありません。
たぶん、トイレで2時間くらい泣いたと思います。もしかしたら30分くらいかもしれません。しかし、それは永遠のように感じました。人間ってこんなに泣けるんだと思いました。すると上司から「とりあえず帰ったら」といわれ、錦糸町の駅で号泣したことを覚えています。
そのとき、仕事で坂口さんに会うことになっていたのですが、私は帰ってしまいました。すると坂口さんから携帯に電話がかかってきました。私は泣きながら話しました。なぐさめてくれることを心のなかでは期待したのだと思います。すると、なんと坂口さんは怒りはじめました。「馬鹿野郎。お前は、いま自分の尊厳を傷つけられている。お金がなくなったらまた稼げばいい。友だちがなくなっても、また作ればいい。でも、自分の尊厳を傷つけられたら、その場で上司を殴って帰れ」と。
怒るなんて、なんてひどい人なんだと思いました。しかし、奇妙なことに、なぜかこれがきっかけで未来調達研究所で働いています。
※この話を書くのは、とても勇気のいることでした。今は書いて、とてもスッキリしています。