池田史子の参謀日記その1

外資系自動車会社で働いていた私は、そのとき調達業務が初めてだったため、毎月先生として坂口さんが来てくれました。社内に同年代がいなかった私は、一ヶ月に一度楽しく雑談ができる、と勉強よりもむしろお話しを楽しみにしていました。

一年くらい経ったころでしょうか、日に日に会社にいるのが辛くなり、鬱っぽい状態になっていました。辞めたいけど辞められない事情があり、絶対辞められない、とそう思えば思うほど辛くなっていきました。実は主人がまだ学生だったのです。そんな時、秘書のようなサポートしてくれる女性を探していた坂口さんと、会社を辞めたかった私のタイミングが合い、お手伝いすることになりました。

会社でそれなりにパソコンが出来ていると思っていた私ですが、坂口さんは私の作業を横で見て、ショートカットを使え、とか、この文章はおかしい、分からなければすぐに聞け、など、色々言われ、最初から挫けそうになってしまいました。

それくらい慣れるまで辛い毎日でした。何度泣いたかも、分からないほどです。今だから話せますが、こんな毎日が嫌でイヤで、私は、いつでも辞められるように、家で作業する用に借りていた重いパソコンを持ってオフィスに出社していました。そうすれば、すぐにそのパソコンを返却して、辞められるからです。

一方で、この仕事が私たち夫婦の唯一の収入源だったので、これが無くなると私たちは路頭に迷うことになってしまいますから、私の仕事の出来無さから、いつクビになってもおかしくはないなとも感じてました。そのため、今日クビになるのでは、とビクビクしていることもありました。

このように、仕事を始めた当初の私は、辞めたい気持ちと解雇される恐怖という一種矛盾する感情が入り混じった不安定な精神状態で懸命に毎日の仕事をこなしていたのです。

※私の文書に反響なんてあるのか、読んでもらえるのか、ドキドキしながら配信致しました。

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