連載2・やる気のない社員の辞めさせ方~ほんとうは部下に仕事に立ち向かってもらうための(坂口孝則)

よく外資系はドライだけれど、日系はベタベタしている。そして、外資系はすぐにクビになるけれど、日系は首にできない、といいます。それはほんとうでしょうか。嘘です。というのも、外資系であれ、日本に法人登記している以上、おなじ法律で縛られます。それに、日産自動車などは、株主は多数が外国人投資家です(ソニーもですよね)。そう考えると、日系と外資系の区分がおかしいとわかります。

前回にも説明したとおり、労働基準法、そして、労働契約法で守られています。だから、外資系の社員もすんなりとクビを受け入れるわけではなく、裁判に発展しています。

しかし、外資系がやはり件数としては低い(比率も)は事実です。なぜだろうか。これについて、社労士などにヒアリングすると、意外な事実がわかってきました。

それは賞与です。なぜならば、賞与の査定が悪くないのです。たとえば、周囲が40万円ほどもらっていて、クビになる社員も40万円もらっているのです。これは第三者が客観的に見ようとした際に問題になります。なぜならば、賞与とは会社の評価が反映されているわけです。しかし、周囲と同じようにもらっていれば、「平均的な仕事はしていたのではないか」となる。

つまり日系企業は評価を平等にしている以上、クビにしにくいわけですね。だから、たとえば、クビにしたい従業員の評価が、10→5→3→1と下がっていったら、まだ客観的に素行不良や能力不足がわかります。ただ「うちは平等主義だから」と賞与も同額であれば、見た目は不思議な不当解雇、となるわけです。

ですので、マネージャーの人たちは、評価で差をつけるのが客観的な証拠となりうるとわかってください。社労士も、これは断言できませんが、たとえば周囲は40万円もらっていて、その対象社員が20万円くらいだったら、評価が悪いと解釈できるといっています。それに何より、不良社員にたいして、賞与でわかりやすく自覚してもらうのが大切ですよね。

手順でいえば、次の通りです。

・「コイツはどうしようもないな」という社員がいるとします
・その人には、「具体的にこうしろ」という業務指示書を出します
・そして、面談で業務の改善を依頼する
・さらに、業務命令として、改善計画書を出してもらう

ここで心を入れ替えるならそれで解決です。

しかし、多くの場合、改善しないでしょう。その場合、上記のようなイエローカードを3回は出すことが重要です。しかも、短期間に数回やってしまうと、脅迫となって裁判で不利になりますので、数ヶ月の猶予はほしいところです。その次はこのとおりです。

・注意書を出します(これは就業規則の懲戒規則に触れている、という趣旨のものです)
さらに面談を行います
・この次は、警告書になると伝えます。

ですので、「業務指示書」→「注意書」→「警告書」の順番になります。

これは絶対ではありませんが、面談の部屋は窓のあるほうが良いようです(圧迫の雰囲気であったと訴えられないように)。具体的な手段は、また続きます。

<つづく>

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