私は怒っている。いや、怒っていなっスよ(坂口孝則)

スポーツクラブのJexerに会員解約の電話をかけた。「15日までに直接ここまで会員証を返却に来てください」とおっしゃる。「嫌だ」「でも、そうなっております」「台風が直撃するのに来いとおっしゃるのか?」「しばらくお待ちください」……「今回のみ特別に数日お待ちします」。当日、会員証を持参し訊いてみた。「申込時、どこに会員証を直に返しに来いと書いているのですか?」「書いていませんが、そう説明しています」「郵送でいいでしょ」「それでは、ご本人確認ができません」「いまだって本人確認してないだろ」「そういうことになっております」「返しに来ないと解約できないのが、解約防止策になっているんじゃ?」「いえ、個人情報保護の観点からそうなっております」「でも、それは単にそちらの方針でしょ」「そうなっております」。なるほど、ヘタな運動より、よっぽどカロリーを使った。Jexerはほんとうにサービス精神にあふれたスポーツクラブだと、最後にわかった。

最近は文房具屋が流行らないという。アスクルや楽天で購入すれば安価にすぐさま手に入る。街中の文房具屋が危機というわけだ。東京・麹町の萬力屋に行って、あるバインダを40個ほど購入しようと店員に訊ねた。「その数の在庫はありません」。沈黙が流れた。マジかよ。「代わりに、これはどうですか?」と訊き返してくれると思った。そうですか、とだけ行って帰宅した。アスクルで注文した。すぐ翌日に届いた。アスクルと楽天の機械的オペレーションは実に気持ちがいい。

書籍が売れない時代だという。ほんとうか。高齢者が書店員に質問する場面をよく見る。お客が探す本がないとき、書店員は「倉庫にもありませんでした」というだけ。お客は「そうですか」と場を去る。なぜ書店員は、すぐさま「数日で取り寄せます」といわないのか。高齢者のお客は自宅に帰って、孫からamazonでの注文方法を訊くのだろう。羽田空港の書店では『日本の論点』の在庫を訊いたら、「書名を教えてください」と逆質問された。

ちなみに私は、新書を発刊する各出版社に、新書目録の郵送を依頼したことがある。もちろん、こちら側で郵便代を負担する条件で。そうすると、各出版社は自社負担ですぐに送ってくれた。とくに日本経済新聞出版社と文藝春秋は即日送付してくれた。ありがたい。もちろんamazonで、はあるものの、両社の新書をすぐさま5冊ずつ注文した。この意味では、書店よりも出版社側に危機感があるというべきか。

ところで、商品を批評する雑誌「MONOQLO」編集部はどうだろうか。批評する立場にふさわしいだろうか。たとえば、私はMONOQLOのムック「ダイエット完全ガイド」にコラムを執筆したけれど見本誌は送ってくれなかった。「読んだよ」と教えてくれる知人がいたので、はじめて発売されたのを知ったほどだ。まあそれも「そんなもんだ」と思っているのでとくに怒りもない。そういえばLDKもこなかった。どちらも自費で購入した。連載執筆者と雑誌が適度な緊張を保つには自費調達がふさわしい。

Jexer、萬力屋、MONOQLO編集部は、私が心から愛するゆえに書いた。健全な関係のために、もちろん私への批判も引き受ける。みなさん、必要あれば、私へ批判のメールを。

<了>

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