坂口孝則の「超」調達日記(坂口孝則)

■8月X日(月)■

・朝からDVDの収録。タイトルは「資料作成・プレゼンテーション集中講座」となった。わずか1時間15分のDVDではあるけれど、これまでの私の資料作成スキルをすべて盛り込んだ。この講義の資料作成にめちゃくちゃ時間がかかってしまった(笑)。プレゼンテーションは、いまだに道半ばとは思うけれど、少しでも役に立てれば嬉しいな。今年中に発売できればいいのだけれど。

・収録終わって、佇んでいると、サマーソニックで「ももいろクローバーZ」が凄まじいパフォーマンスを見せたと知人からメールが! サマーソニックはライブイベント、ももいろクローバーZはアイドルグループの名称……って説明する必要があるのかどうか。AKB48のあとは、ももいろクローバーZと思っているのだけれど、やはり……。あの圧巻のパフォーマンスの前に、老若男女問わず熱狂してしまったらしい。そういえば、某誌の連載原稿で、ももいろクローバーZについて書くことになっている。

・そして、慶應大学のMBA受験しようと思って(俺が、ですよ)、帰宅後に願書を見る。ふむふむ。一年間で220万円もかかるのかあ……。どうしよう……。まわりに相談したら、「お前がMBAなんて取る意味があるのか」といわれたし。お客さんからは「そうかあ、来年はコンサルティング仕事を依頼できないね」といわれたし。2年間で約500万円相当の価値はあるのだろうか。思案中。

■8月X日(火)■

・楽天の電子リーダーkoboを購入。7980円なり。激安だ。近くのTSUTAYAで「売れていますか?」と聞いたところ、「そこそこです」のお答え。みなさんご存知のとおり、koboはあまりに酷いため購入者からクレームが相次いでいる。koboにたいするレビューが星一つばかりだったので、楽天がレビューを削除してしまったほどだ。俺が「あまりに酷い噂ばかりなので、どれだけ粗悪品なのか知りたくて買う」とTSUTAYAの店員にいうと「お客さん、面白いですね」だとよ(笑)

・自宅にもどりセットアップを開始。なんだよこりゃ……。めちゃくちゃ時間がかかるじゃないか……。しかも、楽天のIDがなきゃいけないのか……。しかも、自宅にwifiがないひとはどうするんだ……。悪戦苦闘し、なんとかセットアップ完了する。pdfを表示しようとすると残像が酷い。ページめくりが遅い、本が探しづらい……。残念ながら、以前アメリカで購入したkindleが優れていると言わざるをえない。もっといえば、iPhoneかiPadでじゅうぶんだろうな。ただし、7980円だったことを考えると、こんなもんかも。軽いし。ただ、国産の電子リーダーが活躍するとすれば喜ばしいと思っていただけに、落胆する。ということで、私は電子上で書籍を読むのであれば、単純にノートパソコンか、iPhone、iPadを推す。あえて電子リーダーを購入する必要はない。

・先日、楽天の社員と話した。「koboは全社員に配布されたんですって?」「そうなんです。だけど、本を読むことしかできないんです、あのデバイスは」「そりゃ、電子リーダーだからねえ」「私、さほど読書しないから」「実際、koboで本はお読みになりました」「いえ、まだ……」。社員すら使わないものが流行するのだろうか。

■8月X日(水)■

・広島でコンサルティング最後日。長かったあ。でも、無事に終わることができた。

・守秘義務があるため、詳細は伝えることができない。ただ、概要を述べておく。調達・購買部門の人員最適化がテーマだった。これまで、組織改革では、多くのコンサルティング会社は、曖昧な定性的な尺度しか持ち得なかった。たとえば、新たな組織案を構想したとする。そのときに、「なぜ新組織案が良いのか」について、定量的に答えることができる人はいない。「うん、なんとなく」とか「新人とベテランをちょうどよくミックスしまして」とか「新たに企画部門を創出することで、付加価値業務をなんたら」とかね。これがぼくにとっては非常に不満だった。

・組織を変える以上は、その効果について定量的に効果予想できなければいけない。そこで、「定量的な根拠のある」組織改革を4ヶ月にわたってやってきた。業務時間や、業務効果などを丁寧に拾い上げて、組織の数式モデルを作った。うむむ、これ以上は言うことができない。しかし、かなり画期的なはずで、標準化して販売することもできるだろう。

・ちなみに、サプライヤマネジメントの領域も同じだろう。よく「この品目はサプライヤ3社体制が良い」とか「5社で競合させるのが良い」というひとはたくさんいる。しかし、なぜ3社、5社なのだ? 直感ではなく、定量的に「この品目は3社の競合体制にすべき」と言えないのか? 言えないとしたら、それは印象論を脱するものではない。サプライヤの経営状態も健全に確保でき、しかも、価格も安価になるであろう、「サプライヤマネジメントのあるべき姿」。これを2年間かけて健闘してきた(俺が、ですよ)。しかも客先で理論を実践にあてはめて、有効であることもわかった。近々、本にもできるだろう。

・ぼくのテーマは常に、「理論」「データ」「定量的」である。

■8月X日(木)■

・シンガポール大学のMBAについて調べる。げげげ、ここはTOEICで満点相当(実際にはGMAT)を獲得しなければいけない。語学勉強だけで一年間ほど会社を休むひともいるらしい。すごいな。最近は、「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」を読んで、世界へ飛び出したい熱が冷めやらない。ところで、「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」は20代のひとであれば読んでも損はないだろう。かつて「村上式シンプル英語勉強法」には、とにかく一日一時間を英語ヒアリングに費やせと書いてあった。3年で約1000時間になれば、誰だって英語を聞き取れるという。

・もはや、「英語を話せるとトクな時代」から「英語を話せないとヤバい時代」に突入していることは疑い得ない。私はTOEIC850点くらいだったけれど、それもはるか前。いまでは600点くらいではないかな。私の知人である清涼院流水さんは、TOEIC400点から、たった3年で先日985点になったようだ。海外ビジネスを考えるものにとって、学習は必須だろう。

・ところで、学習には継続が必要だ。しかし継続は一般人がもっとも嫌うものだ。ぼちろんぼくも例外ではない。だから、どなたか、一緒に学習しませんか? あるいは英語圏のひとたちと毎週継続的に会話できるようなところ(英会話スクール除く)を創出できないだろうか。英語圏のひとにもメリットがあり、こちらも語学学習できるような……。なにかアイディアはないものか……。

・という話をウチの妻にしたところ、「ありゃ、あたしなんか秘密で英会話教室に通っているわよん」と。さすが女性。しかし、働きながら英会話教室というのもなあ。都内近郊のビジネスマンの方々、賛同者いらっしゃれば

■8月X日(金)■

・某誌から原稿依頼と締め切りの通知が。その締め切りがめちゃくちゃ早い。「こんなに早いんですか? もっと遅くなりませんか?」と訊いたところ、いきなりプラス一週間後で良いんだってさ。なんだよ、以前の締め切り設定は。あまりに余裕持ちすぎ。なんだか気分が悪くなったので、メールの返信はしておらず。

・と思っていると、次に日本能率協会の関係会社から執筆依頼。この原稿料がめちゃくちゃ安い。どうしよう……。おそらく引き受けるんだろうな……。日本能率協会にお世話になっているし(といきなり日本的発想)。

・この日は富山に取材旅行。飛行機に乗って、富山市役所に向かう。富山市役所にドラえもんの折り紙を見つけた。ドラえもんが出来上がるというもの。A4折り紙が50円なり。なるほど、キャラクタービジネスはこのような形もありうるのだね。藤子プロに使用料を払っているのだろうか。

・富山のビール、それと立山(日本酒)を飲んで死亡

■8月X日(土)■

・本のまとめ読み。10冊くらいを読破。先日、若いコンサルタントから「本の選び方を教えてください」と質問された。答えは「選び方も何も、気になる本はすべて買え」だ。あるテーマを学ぶとする。その分野に詳しくない以上は、選別眼が肥えているはずはない。とするならば、結論はその分野について、気になる本をすべて買うことになる。あるいは、気になった著者がいたら、すべての本を買うことだ。

・これを実行できない人が多い。しかし、経験則でいうと、本は払った分、かならず戻ってくる。むしろ、読まないことのリスクが大きい。図書館ではなく、かならず身銭を切って買うこと。それが一番と思う。若いころは大変だ。しかし、若い頃に学習しないともっと大変になる。まあ学習については、その人しだいではあろうけれど。

・ちなみに、ぼくは気になる人に会いにいくときに、その人の著作をすべて読破する。それが最低限の礼儀だからだ(少なくともぼくの)。ただ、最近はインタビュアーでも、ぼくの本をほとんど読んでいないひとがいる。もちろんできあがった記事は薄っぺらい。ぼくは先生ではないから、「ああ、このひとは今後も、この程度の仕事しかできないんだろうな」と思うだけだ。冷たいけれど、事実だと思う。

・他人が「ある程度」で終わらせていることを、自分だけは徹底的にやる。これが、成長への簡単な方針ではないか。ぼくは親でも先生でも上司でもないから、「若い奴は努力が足らない」とはいわない。むしろ、下の世代がレベル低いままだったら、俺の価値は高いままだろう、とすら思う。こう挑発的に書いたら、どれだけのひとが奮起してくれるだろうか

<つづく、かもしれない>

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