坂口孝則の「超」調達日記(坂口孝則)

■7月X日(月)■

・朝からDVDの収録(二日目)。調達・購買関連のDVDで、この日は「サプライヤマネジメント」と「生産・ものづくり」の巻の収録。ほとんど間違えずに収録完了した。スタジオをあと一日押さえていたけれど、あまってしまった。

・スタジオのひとにも「これだけスムーズに収録完了するのは珍しいですよ」と言われる。へへへ。

・発売は11月くらいを予定していたものの、もっと早まるかもしれない。日本能率協会から発売になる。個人で購入するのはちょっと高いかもしれない(といっても最終的にいくらにするのかは日本能率協会しだいだが)。企業単位で購入いただけると嬉しい。

・そこで、一日あまったので、何か追加コンテンツを収録しようかと検討中。このうちのどれかになるだろう。「調達・購買人員のための意識改革セミナー」「調達・購買リスクマネジメント」「調達・購買人員のための、仕様書の確認方法セミナー」。どれがもっとも売れるだろうか。

・収録後はオフィスにもどって、ひたすら資料作成。そろそろ疲れてきた。

■7月X日(火)■

・「商店街はなぜ滅びるのか」を拝読。こいつは面白い。しかも著者の処女作。これはすごい。

・商店街が古典的なものではなく、むしろ近代の発明品だったことを明らかにする。しかも、商店街は農村出身者が多かったことや、高度成長期との兼ね合いや、政治団体としての商店街店主たちについても、丁寧に記述してある。

・これはやられたね……。ちなみに、この欄で紹介するのは読んだ本のうち1割にも満たない(すなわちそれくらい駄本が多い)けれど、ひさびさのヒット。ちなみに「あとがき」を読んでいると、三宅貴久さんの名前が。三宅さんはぼくの本「会社の電気はいちいち消すな」のご担当編集者だった。すぐに「面白いです」とメールを送った。

・この商店街はなぜ滅びるのか」の進め方が、ぼくが構想している本にそっくりだったからでもある。実は、ぼくはサラリーマンが独立起業して士業・コンサルタントになってしまうことの悲哀を描こうとしていた。ズバリ「知的ブルーワーカーの時代」。なぜ、サラリーマンが独立してコンサルタントになりたいのか。ノマドと叫んでも、結局はオフィスすら持たぬ貧困自営業者にすぎないのではないか。まだ構想段階だけれど、そういう内容だった。この「サラリーマン」を「農民」へ、「コンサルタント」を「商店街店主」へ読み替えれば、そっくりロジックが完成する。

・三宅さんからは、即「その知的ブルーワーカーの時代というコンセプトが面白い。社会学的にまとめて本にしよう」とご返信が。

・こうやって忙しくなっていくのだよなあ。

■7月X日(水)■

・守秘義務があるので、多くは書けないものの、広島のお客さんにお邪魔しコンサルティングを実施。この日は、参加者全員が「なるほど!その手があったか!」と驚くほど仕事が進んだ。

・アイディアを出す仕事はしんどい。それは、どんなアイディアを出すことができるか、やってみなければわからないからだ。しかし、そのアイディアが先方に認められたときに、喜びは倍増する。

・帰り際に違う案件の仕事も紹介される。

・こうやって忙しくなっていくのだよなあ。ありがたいことですけれど。

・ちなみに、ぼくは仕事の8割くらいがコンサルティングとかいわゆる本業。最近、テレビとか連載で儲けているんですか、と訊いてくるひとがいるけれど、全然。メディア系の仕事だけで食っているひとなんてほとんどいない。地道な仕事を重ねるだけなのであります。

■7月X日(木)■

・小沢新党は49人か。おそらく、48人だったら、軽薄なメディアは「小沢48」などと騒いだだろう。あるいは「新党48」か。

・この日、某雑誌の原稿料振り込みが遅れていることが判明。すぐに編集者が謝ってきた。いや、別に謝る必要はありませんけれどね。それにしても、メディア企業のなかで下請法を守っているところはあるんだろうか。そういえば、某大手新聞社が脱税を指摘されたときも、それを報じるお仲間の新聞社はなかったなあ……。どうなっているんだ。

・悪い話はさらに続き、ぼくの海外出張がなくなった。海外企業に視察に行き、同行者に解説する仕事だったんだけれど……。まあ、こんな日もあると割りきるしかない。それにしても、上海に行ける予定だったので残念。

■7月X日(金)■

朝から札幌に向かう。この日は楽天主催のカンファレンスで基調講演をやることになっていた。それにしても、自宅から3時間後には新千歳空港に到着するのね。俺だけ寒くて震えていたら、みんなは半袖。

・会場につくと、何もやることなく1時間ほど待ちぼうけ。スタートしたら、会場は満員だった。札幌の楽天関係者は、ほとんどがグルメ食品を販売なさっているという。

・俺の話なんて面白いかなあ、と思ったけれど、こちらから見ている限り「寝ているひとゼロ」「途中で帰る人ゼロ」だった。なかなかだったのか。ぼくは講演は必ず時間ぴったり終わるようにしているけれど、今回は30秒ほど遅れてしまった。主催者に詫びると、「そこまで時間に厳しい人ははじめてだ」と呆れられた。

・楽天の執行役員のかたと名刺交換して帰宅。

・帰りにFacebookをチェックしたら、北海道のひとたちから大量の「友だち申請」が! おお、意外に高評価じゃないか、と安心した。

・帰りの飛行機では気になるひとの著作をまとめ読み。実は、最近、糸井重里さんの文章をすべて読んだほうがいいのではないかと思ってきた。糸井重里さんはなんだかんだいいながら、時代の無意識をうまく作品に捨象している。糸井重里作品を読むことは時代を読むことだ。「悔いあらためて」(絶版、おれはamazonの中古で購入)、「夢で会いましょう」(最高傑作)、「家族解散」(絶版、おれはamazonの中古で購入、これほど面白い小説がなぜ評価されないのだろう)、などを読破。

・帰宅してビール。ちなみに、おれはここの会社とまったく無関係ですけれど、「空海」というビールはうまいです。おためしあれ。

<つづく、かもしれない>

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