調達関係者をビクンビクンさせる方法
モテる男と、モテない男。あるいは、モテる女と、モテない女。何が違うのか--。これほど下世話なトピックではないものの、優れたものと、劣ったもの。その違いの分析に命をかけたひとがいました。その名は、人類学者のグレゴリー・ベイトソン。彼は、文明や民族を多数フィールドワークしながら、良きものと悪きものの差は何なのか--。常に考えました。
彼は、こう考えました。人間は、誰もがほとんど変わりません。誰もがタンパク質でできています。これは生物学上、正しいことです。しかし、それにもかかわらず、アウトプットのレベルが違います。業績が違います。誰かは優秀で、誰かは劣っています。なぜか。グレゴリー・ベイトソンは、優秀なひとはDMD(Difference that makes a difference)があるからと考えました。
DMDとは、無理に訳せば「違いをもたらす違い」「差をもたらす違い」となるでしょう。言葉遊びではありません。優秀なひとはDMDを持っているのです。
よくクッキー職人に例えられます。最高のクッキーを30年かけてノウハウ化したひとがいたとします。そのクッキーづくりは素晴らしいものでしょう。しかし、そのレシピが詳細に書かれていたとしたら、どうでしょう。おそらく、そのレシピどおりにすれば、同じ味が再現できるはずです。このレシピがDMDでしょう。
私は、誰か優秀なひとに会う際には、このDMD探しをやっています。漠然と優秀なひとを見てはいけません。そのひとがDMDを持っていると思えば、それだけで意識が変わります。優秀なひとに会うとは、優秀なひとと話すとは、優秀なひとの話を聞くとは、すなわちDMD集めなのです。そう考えれば、ひととの出会いにパラダイムシフトが生まれるでしょう。出会いとはレシピ集めなのです。
私は、師匠であるMr.Fをはじめとした、さまざまな先哲たちのレシピ=DMDを集めてきました。Mr.Fには何人もの若手が従事しました。しかし、Mr.Fをレシピ集めの対象として見ていた若手は誰もいませんでした。私を除いては。
優秀なひととは、能力やスキルをノウハウ化できるひと、と同義です。みなさんも、優秀な同僚や先輩を見たら、レシピ(=DMD)集めをやってみませんか? そのレシピを集めて、どこかで公開すれば、それこそみんなをビクンビクンさせます。単なる建前や、皮相的な会話ではなく、みんなをドキドキさせ、あなたの名声を高める、おそらく唯一の方法であるはずです。
生きてきたからには、まわりをビクンビクンさせてみませんか。