CSR調達/持続可能な調達の実現ステップ

​_(企業の社会的責任)をどのように実現するのか。次の3点がポイントとなります。

 

(1)    取り組み状況の確認

 

2000年代に入って、企業内にCSR対応を行う部門の設立が相次ぎました。上場企業であれば、これまでになんらかの取り組みを行っているはずです。したがってCSR調達の実現に際しては、今後の取り組みのポイント掌握や、漏れている内容=リスクを特定するために、これまでの取り組み状況を掌握します。具体的には次の内容を確認します。

 

①           従来の調達購買管理で行われている内容

1)       購入物の品質と安全性は具体的な内容で、正しい手順で確保されているか

2)       損害賠償責任につながる法令違反はないか

②           既存の企業運営管理で管理されている内容

1)       適正な労働環境の下で購入品が生産されているか

2)       環境への配慮が適正に行われているか

 

(2)    法令調査

 

法令順守はCSR調達の基礎的な条件です。日本企業であれば、まず日本国内の法令順守を徹底します。その上で、グローバル調達の進捗度合いにより、国ごとに異なる労働基準や環境保護規制を踏まえ、日本国内との違いを理解しなければなりません。進出先がどのような状態にあるかを、以下の通り掌握します。

 

①           法令の体系に日本との差異はないか

②           法令が存在するかどうかの違い(日本には法令あり、現地にはなし)

③           適法基準の違い(日本では適法でも、現地では違法)

④           法令の運用基準が異なる

 

現地で経験が乏しい進出時の現地状況の掌握には、情報提供を行うコンサルティング会社を活用して実現します。

 

(3)    サプライヤーの調査

 

具体的な活動内容を定める際には、サプライヤーの現状掌握も不可欠です。初期段階では、書面による調査と訪問調査を並行的に行いかつ活用して、全体感の掌握に努めます。

 

調査・確認に際しては、サプライヤー評価項目に、従来の能力確認に加えて、以下の評価内容を加えます。

 

①           製品安全性の担保

②           法令順守への取り組みの具体的内容

③           従業員の労働環境における法令確認と順守状況

④           事業にまつわる廃棄物の適正な処理と、持続可能性への配慮

 

日本国内のサプライヤーであれば、同じ法令の下で活動していますので、調達購買部門としての見る側と、サプライヤーの見られる側の条件が同じです。したがっていきなり順守状況からの確認でも問題ありません。しかし海外のサプライヤーの場合は、法令の整備状況が、そもそも日本と異なっています。私の営業時代の経験では、環境への配慮に関する問題でこんな例がありました。ある国の環境規制は、日本と同等か、項目によってはより厳しい内容になっていたのです。しかし現地に厳しい環境規制で定められた数値を確認する各種計測器が完備されておらず、規制は形骸化していました。当時は笑い話でしたが、当然計測器は完備されてくるのは容易に想像できます。日本でも、かつては問題化しなかった内容が、時の経過とともに問題となるケースがあります。したがって過去に良かったから、今も変わらずにいいだろうとの考えは危険なのです。

 

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http://www.future-procurement.com/event/miraicsr/

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