CSR調達が失われたとき、その対応実践例

(2)IT機器メーカー

これはAppleを例にします。過去にApple製品を生産するFoxconnの工場で、自殺が相次いで発生していると伝えられました。報道によってN社のような売上減少していません。しかしN社と同じようにファブレスであるAppleは、サプライヤ管理をCSRを強く意識して行っています。

Appleのサプライヤマネジメントは、「サプライヤー責任」と題されたホームページをご参照ください。調達購買部門の活動で、サプライヤマネジメントに関し、ほぼすべてのプロセスを公開しています。

この2社のCSR調達の実践に際して共通しているポイントは、N社の当初の姿勢でもある「サプライヤの責任であって、自社(発注元)の責任ではない」を、全面的に否定している点です。Appleでも、明確に「サプライヤに立ち入ります」と宣言していますし、ナイキも自社とはまったく関係ないバングラデシュの事件に言及しています。

N社の例では、本社所在地である米国の法令は遵守していたでしょう。そして海外サプライヤへの発注に際して締結する契約書にも、企業所在地における法令遵守を明記していたでしょう。そういった取り組みによって法令遵守している企業姿勢は貫けたかもしれません。しかし先に紹介した児童労働の証拠写真によって、自社で法令は遵守していても、それだけでブランドイメージの失墜と、売上減少は防げなかったのです。

 

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