CSR調達/持続可能な調達を行う意義~自社調達・購買活動によるデメリットへの対処

CSR調達実践の例に、次のような企業の取り組みが挙げられます。

・スターバックス(http://www.starbucks.co.jp/csr/ethicalsourcing/)
フェア・トレードのラベルが付いたコーヒーを販売し、コーヒー生産者から国際商品市場を上回る価格での購入を保証している

・ナイキ(http://help-en-us.nike.com/app/answers/detail/article/supply-chain/a_id/20878/p/3897)
発展途上国にある仕入先工場の労働条件を監視

・イケア (http://www.ikea.com/ms/ja_JP/pdf/sustainability_report/sustainability_report_2013.pdf)
インドの敷物納入業者に対して、児童の一雇用を禁止し、児童が労働市場に駆り出されないように、家族に対して資金援助

各社とも、自社の調達購買活動によって、事業推進上で生じるデメリットへの対処を行っています。スターバックスの例では、購入価格を生産者レベルでのコストに見合うレベルとする。ナイキでは、過去の教訓から、サプライヤレベルでの労働条件の監視。イケアでは、児童労働を発生させないために、資金援助を行っています。

上記では、調達購買活動に伴うデメリットを御紹介しました。バイヤ企業にのみ最適な調達購買活動では、CSR調達が実現できません。サプライヤの事業推進の中でも、バイヤ企業と同様の適正なプロセスが確立されなければ、CSR調達は成立しないのです。

ここまで、外資系企業の取り組みを御紹介してきました。では日本企業でCSR調達を実践している企業として、ユニクロ(http://www.uniqlo.com/jp/csr/businesspartners/)を御紹介します。サプライヤ(HP上では「生産パートナー」と表示)に向けた「コードオブコンタクト」は、企業として取り組むべきCSR調達のポイントを網羅、次のポイントで内容が極めて具体的に明記されています。

・法的要求事項
・児童労働
・強制労働
・抑圧及びハラスメント
・差別
・健康と安全性
・組合結成の自由
・賃金と諸手当
・労働時間
・環境保護
・文書化とコミュニケーション
・モニタリング及び本コードオブコンダクトの遵守
・是正措置
・下請業者及び家内労働者
・透明性及び誠実性

HP(https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/)では、サプライヤの監査結果(https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/labor/partner.html)も公開されています。興味深いポイントは、最新の2013年の調査結果で「評価E:即取引見直し対象に値する極めて悪質なかつ深刻な事項」が指摘されたサプライヤが10件あり、その指摘内容と、結果として6件とは取引を終了させたと明記している点です。

ここまでお読みいただいた読者の皆さんへ質問です。HP上では、具体的な改善事例も明記されています。自ら問題点を明らかにしたユニクロに対するイメージが、監査結果を読んだ後に下がったかどうか。ユニクロ製品の購入をこれからやめようと判断するに至ったかどうかです。

公開されているE評価の例は、児童労働と、虚偽報告。正にナイキで問題となった例と、虚偽の内容は違いますが、マクドナルドの例に近似した内容ですね。ポイントは、自ら公開するか、それともマスコミに代表される第三者からの公開(告発)によるかの違いです。

調達購買活動も含むCSR活動のポイントは、モニターと公開、そして改善活動です。多くの日本企業に当てはまる事項としては、企業のイメージを損なう活動や事実があった場合、どうすべきなのか。CSR調達の実践でも、冒頭から100点を取る必要はありません。現状を掌握して、改善を行う。我々が日常的に行っているコストや業務内容に対する改善活動となんら変わらないと理解します。

 

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