地獄の日々②
コンサルティング会社を作って、試行錯誤していた際の話だ。
いったい何が正解かわからない。どうやったらお客を獲得できるかわからない。だから、私はいろんなところにまわりながら、とにかく本を読んだ。
よく私は「一日に2冊の本を読んでいる」という。しかし、実際には、それ以上だと思う。
私は29冊の本を書いてきた。だから、一冊それぞれには愛情を込めている。しかし、読み手としては、肝要点だけ知りたいものだ。
コンサルティング会社を作ってからは、とにかく必死になって、集客できそうなヒントがありそうであれば、すべて買った。想像してほしい、一日に10冊とか、20冊が家に届く。しかも、その大半を、読んでいるんだか、読んでいないんだか、わからない状態で廃棄される。一ヶ月で、相当数の書籍と、そして廃棄物であふれる。
私の妻がいっていた。
「面白い本あった?」
なかなか面白い反応だと思う。
相当な金額が浪費されている。普通だったら「売上もないのに、買わないでくれる?」といってもいいはずだ。しかも、いまでも思うが、そういう無駄になる可能性のある支出に対しては、眉をひそめるのが正しい妻の経済観念だ。
たしか、100万円単位で、いろいろな書籍を買った。
普通だったら「そんなに買うなよ」といわれるだろう。ただ、「それ以上を儲ければ」といってくれただけで、なんの反応もなかった。
たまに、「妻に教えたくないので、セミナーの受講票を会社に送ってくれませんか」とか「妻に教えたくないので、教材の請求書を会社に送ってくれませんか」とかいわれる場合がある。もちろん従う。しかし、同時に、学習のための支出を、奥様に拒絶されるのは酷く窮屈だろうなあ、と私は思う。
150冊くらい読んだら、いろいろなヒントが見つかる。私は、つねにそんな「凡人」的な方法を志向してきた。