見積書の内容を確認する前に判断すべき内容
「遅いとは思いますが・・・・・・」
先日、見積依頼を行ったサプライヤーから訪問を受けた。せっかくご来訪頂いても・・・・・・だけど、まぁ本当にせっかくなので、会うことにした。実際、見積依頼を行った案件は、仕様変更とスケジュールの遅れにより、訪問を受けた時点でも間に合ってしまう状況。ただ、見積依頼を行って、回答日を設定し、その設定日を守ったサプライヤーとは、評価が異なってくる。
見積依頼をおこなった製品は、大きく3つの要素から構成される。三つのうち一つでも得意分野があれば、あと二つは協力会社を活用すれば、製品としてまとめ上げることができる。したがって、対応できるサプライヤーさんの数は多くなる。最終的には商談会へ行ったこともあって、十数社のサプライヤーへ見積依頼を行う事になった。
見積依頼の方法は、こんな感じ。
1.全てのサプライヤーへ、同じ資料を送付する。
2.見積可否、そして可の場合は、見積回答日も回答していただく。
3.提示した資料に質問がある場合には、個別に対応する。
これって基本的な対応と思う。が、この基本的なプロセスを丹念に追っていくと、十数社の同業者も見事に色分けされてしまう。見積を見ずとも、だ。
まず2で、いつ見積をご提出いただけるか?について、ご回答いただけないサプライヤーが半数くらい居る。ちなみに今回一ヶ月以上を経過してやって来たサプライヤーもその類。期日を自ら設定したとしても、そのスピード感は千差万別だ。三日もあれば、一週間、十日ってのもある。今回は見積結果で、その見積もっていただいた製品の発注先を決定するのみならず、今後発注が予想される同様な製品を継続的に発注するためのサプライヤーを見出そうとしているので、敢えてこちらから期日を設定することはしなかった。
そして3によって、見積をする際に、提示した資料をちゃんと読んでいるかどうかが判断できる。見積依頼を行った翌日に概算との但し書き付きの見積書を貰ったが、今回は逆にちょっと不安になった。ちゃんと読んでくれている?なんて思って。実際に受けた質問の中には、資料には細心の注意を払ったにもかかわらず、事前準備不足が否めない内容もあった。反省しきりである。
こんな事を行うのは、設計が終わった時点でもうコストの過半数の部分は決定しているように、バイヤーにとっては見積書が提示された時点では、その金額も大きくは変動しないであろうとの私の考えがベースにある。見積書を提示された後に、例えば数値が大きく変動した場合は、当初の提示価格を疑うべきで、なぜそうなったかを考える。多くの場合、見積提示後の大きな数値の変化は、バイヤーとサプライヤーの関係が思わしくない象徴と思われる。サプライヤーとの信頼関係と、バイヤーの見積する製品の価格への感度があれば、そう大きな変動を後から来すような数値の提示はできない。簡単に言えば、バイヤーが舐められているだろう。別にバイヤーでなくとも、相手からバカにされるのは、余り面白くはない。
見積を入手して、金額に満足できずに、相手の会社へ乗り込んで傍若無人な振る舞いを行い、そんな態度がたまたま相手の社長に気に入られる・・・・・・なんて事は、フィクションの中だけの話。見積金額には、そこへ到るバイヤーの一挙一動の集約であることを忘れてはならない。従い、見積依頼とは、見積を入手する前から細心の注意を払って行うべきモノで、見積入手後に活躍の場などない、と思うのである。