UFOと調達・購買の奇妙な関係(坂口孝則)
「UFOを信じますか?」と訊かれたら、私は「信じます」と即答します。なぜなら、もともと未確認飛行物体ですから、未確認の飛行物体は、論理的に無数にあるからです。さきほども蚊のような物体が私の前を通り過ぎましたが、これも未確認の飛行物体には間違いありません。
「宇宙人を信じますか?」と訊かれても、私は「信じます」と即答します。なぜならば、地球人は宇宙に住んでいるので、定義上は宇宙人になるからです。
ところで、世の中で、いわゆるこれらが確認されるときには特徴があるといいます。たとえば、UFOは、核開発の技術が高くなり、軍事機密封鎖が激しくなったあとに、全米各地でよく観察されるようになりました。つまり、人びとの深層心理的な恐れが、UFOを「創出した」のです。
また、もう一説によると、UFOは冷戦終了後にピークを迎えました。これも興味深いのは、ソ連という恐怖がなくなったあとに、人びとは宇宙人やUFOを「創出した」というわけです。
日本では心霊写真があります。あれは面白いですね。スマートフォンがこれだけ普及しているので、比例して心霊写真が見つかってもよいはずなのに、ほとんど発見されません。なぜならあれは「見たい人」が「見ていた」だけだからです。
ところで、この「見たいもの」を「見る」。逆にいえば、「意識しないものは見えない」という状況があります。たとえば、人間は目から、自分の鼻が見えているはずですが、ほとんど気づきません。
ちょっとここから大袈裟な話をしますね。
私は、これからは世の中を変えるのではなく、重要なのは、世の中の見方を変えることだ、と思っています。世界は変わらないかもしれない。でも、見方を変えるだけで、誰も気づかなかった「世界」がそこには広がっています。
たとえば、調達・購買業務でも、これまで気づかなかった見方をしてみませんか。たとえば、価格交渉について、小説をたくさん読んでいるひとのほうが上手い、といった指摘があります。それは、交渉を物語に置き換え、相手をストーリーに引き込み、それによって説得できるからです。とすれば、交渉において、他者を巻き込む物語の作り方とは何なのか。新たなスキルの教育機会になるでしょう。これを突き詰めれば、本だって出せるでしょう。
交渉と小説の関係はあくまで一例です。しかし、世の中の「見方」を変えることの大切さをお伝えしたかったのです。そして、見方を変えるために有効な手段は、読書・学習と、これまで出会わなかった種類の人たちとの対話であるのは疑いえません。