ケンカになりました。どっちが正しいですか。(坂口孝則)

以前、弊社の牧野直哉とケンカになりました。言い争いの題材は「組織のうち、優秀な上位2割に限って優遇すべきか、その他8割も底上げを図るべきか」というものです。

私の答えは「組織全員をレベルアップせねばならない」ということです。それにたいして、牧野の答えは「上位2割に集中すべきだ」でした。けっして二項対立ではありませんが、多くの管理職が、このどちらかの考えをもっています。

よく、コンサルティングなどで企業に出向くと「やる気のある上位2割だけでもいいので、スキルをあっぷさせてほしい」と聞かされます。そう発言する部長や課長の気もちはよくわかります。その他8割は、なにをいっても響かず、もはや救いようがないと考えているのです。

しかし、残念ながら、上位2割だけを集めた組織を作っても、結局はそのなかから上位2割と、その他8割が生じてしまうのです。働き者のアリだけを集めても、結局は上位2割は働くし、その他8割はあまり芳しい動きを示さなくなります。そういうものなのです。だから、8割を嘆いてもしかたがありません。

私のこれまでの活動はすべて、調達・購買業務に携わる全員を底上げするために費やしてきました。夢想でしょうか。きっとそうかもしれません。しかし、仕事を「おもしろおかしく」(まるで堀場製作所の社是のようですね)することが重要です。言葉を替えれば「楽しいことをやるのではなく、やることを楽しむこと」でしょう。

たしかに実務的には、上位2割を伸ばすほうが簡単です。でも、それでいいのか、と私などは思ってしまいます。夢想であっても、組織全員が、調達業務に携わって良かったと思ってほしいからです。すくなくとも「上位2割だけ、ちゃんとしていればいい」と思っている管理者と、「全員を伸ばしてあげたい」と思っている管理者だったら、私は後者を選択したいと思います。

私はきっと勝利のない闘いに挑んでいるのでしょう。私は以前、職場の先輩から「お前は効率が悪いな。評価されることだけやったほうがいいよ」と、馬鹿者の認定をされました。しかしそれでもなお私は、弱く、声の小さい、虐げられたひとたちの味方でいようと思います。そして、一人でも多くの方々に、この調達業務の愉悦をわかってもらいたいと思います。

みなさんはどう思いますか。繰り返すと、これは二項対立ではありません。

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