サプライヤー戦略(8)なぜ系列発注は優れていたのか-1

・ケイレツ発注という温故知新

 

ここで温故知新という言葉を思い出すのも悪くない。私はそう思います。

かつて、「ケイレツ発注」を、自由競争を阻害するもの、あるいはコスト競争力向上の桎梏となるもの、としてとらえられていたときがありました。時代はまわる、という極言どおり、「ケイレツ発注」についても、多面的な再評価を加えるときがきています。

まず、「ケイレツ」という箇所を賛美しているわけではありません。その利点は、むしろ「安定した受発注関係」と「その数量のブレの少なさ」ととらえるべきものです。想像のとおり、先月は10万個の受注だったものの、今月は数千個のみの受注、という状況では、サプライヤーの利益創出は容易ではありません。バイヤー企業が競合状態を創り上げることのみを是とし、サプライヤーの仕事量を不安定なままにしておくのと、共益関係のなかで安全な仕事量を約束しているのとでは、利益の確保という点ではどちらが優れているか想像に難くありません(もちろん、ケイレツだからといってコスト低減を緩めるわけではありません。これは別次元の話です)。

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